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聞きたいタイ語の講演があったけど通訳の日本語がよく分らなかった……

タイでは、タイ人はタイ語、日本人は日本語で講演を行うセミナーが多いため、同時通訳が必要となります。ただ、その通訳が気の毒になり講演者の話に集中できないことも少なくありません。

これまで通訳の入ったセミナーに数多く参加してきましたが、「これは通訳泣かせだ」と思うのが早口な上に語尾がはっきりしないスピーカー。メモをとるのも難しいほどの日本語のスピード。ヘッドフォンから流れるタイ語を聞いてみると案の定、訳が追いついていない。

これまで特にひどかったのが日本の大手私立C大学がタイで開催したセミナーです。告知ではタイ人の参加を積極的に呼びかけていたにもかかわらず、講演者の一人である教授はやる気がないのか用意してきたノートを早口かつ一本調子でほぼ棒読み。メモを取るのを止め、通訳の奮闘ぶりを確認してみると、やはりというか、沈黙の時間が長い。「ノート読むだけなら事前に通訳に原稿を渡しておけよ」と悪態をつきたくもなりました。

ここまでひどくなくても、現地の教育機関から招かれた日本人講師は明らかに予定時間におさまらないであろうレジュメを用意。ようやく本題に入ったところで残り時間は10分ほどしかありません。すると突然、「通訳さん、がんばってください」と一声かけたと思ったら、機関銃のような早口。この時も当然ながら通訳はついていけませんでした。

タイ人講師のタイ語を日本語訳する場合にはさらに事態は深刻です。通訳の大半はタイ人のため、いくら優秀といってもネイティブではありません。タイ語→日本語は、日本語→タイ語より難易度が上がります。そしてタイ人講師は日本人講師以上に通訳のことを意に介さず、ペラペラ話し続けるタイプが多い。訳しきれない通訳は少なからずおり、多くの場合、数字を省いて通訳するか、例が2つ挙がったらそのうちの1つだけ訳すという対応をしているようです。これでは大切な情報が落ちてしまいます。

セミナー通訳は優秀な方が大半です。そのため、セミナー運営側の担当が、講演者に通訳の入ることを告げ早口を控えてもらうとともに、制限時間内に収まるよう講演内容を事前に打ち合わせすればセミナーはさらに有意義なものとなるはずです。さらにいえば、それをしないのは運営側の怠慢です。

大使館、ジェトロ、商工会議所の関係者は場数をこなしているせいか、通訳のことを考えて発言する方が比較的多いですが、問題が散見されるのが大学関係者。専門用語を不用意に多発し、しかも、語尾がハッキリしない。また、タイ側の省庁から来る講演者は大半が通訳泣かせです。運営側のあと少しの気配りでセミナーはより有意義なものになるだけに「もったいない」と思うこともしばしばです。

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