タイ労働許可証オンライン化 新システムは不具合続発 現場が大混乱

タイ労働省は2025年10月13日から、外国人労働者の労働許可証(ワークパーミット)申請を新設のオンライン申請プラットフォーム「e-WorkPermit」(https://eworkpermit.doe.go.th/)を通じてのみ受け付けることにしました。ところが、制度開始初日からトラブルが連発。緊急措置として従来の紙の書類による申請も併用されることになっています。

開始から1カ月が経過した11月中旬の時点でも不具合は収束しておらず、当初予定していた「オンライン申請の完全一本化」がいつ実現するのか、先行きが見えない状況です。

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登録段階からトラブルが頻発 企業情報誤登録に修正不可

現場から最も多く上がっているのが、e-WorkPermitの登録段階で起きているトラブルです。具体的には以下のような不具合が確認されています。

  • ログインできない。できたとしてもシステムがフリーズする
  • システムに登録された企業情報が正しくない
  • 誤った情報が修正できない
  • 外国人従業員の情報が表示されない
  • 該当する職位名を検索しても見つからない

登録情報が誤っている場合、申請者側は修正依頼を出す必要がありますが、そもそも修正申請が受け付けられないケースも多く、申請作業が進まないとの苦情が相次いでいます。

書類審査でも混乱 OS担当者の知識不足で修正要求が連発

書類提出段階でも問題が生じています。新たな手続きでは、労働省から運用を委託された アウトソース事業者(OS) が一次審査を行い、その後に労働省担当官が本審査を行う仕組みになりました。しかしこの二段階審査が逆に処理の遅れを招いています。

主な指摘は以下の通りです。

  • OSの一次審査担当者が労働許可証制度を十分理解しておらず、不要な修正を求めてくる
  • 本来は追加資料が不要な業種にも、書類提出を求められる場合がある
  • 一次審査が遅れ、従来より手続き完了までの時間が延びている

OSは「利用者数が予想を上回った」と成果を強調していますが、これが現場の怒りを買うことにもなっています

現場の声:『以前のシステムの方が速くて明確だった』

外国人労働者や受け入れ企業、申請代行業者などからは、不満の声が多数上がっています。

  • 「以前のシステムは迅速で、所要時間も明確だったが、今は何も分からない」
  • 「労働省に問い合わせるとOSに回され、OSに問い合わせると申立書を書けと言われ、結局一歩も進まない」
  • 「返事が来るまで非常に時間がかかるうえ、返答が来ても問題が解決しない」

こうした声がSNSや掲示板にも広がり、
「オンラインは選択肢であるべきで、強制すべきではない」
「障害時の代替ルートを整備してほしい」
といった意見が多数投稿されています。

オンライン化による生産性向上を掲げて始まった改革でしたが、現場ではむしろ負担が激増している状況が浮き彫りとなっています。

カード型ワークパーミットでVISA延長ができない不具合も

オンライン申請が受理された場合、労働許可証は従来の「冊子型」ではなく カード型とデジタル版 で発行されます。しかしこの「カード型」が新たな混乱を引き起こしています。

2025年11月18日時点で、バンコク・政府総合庁舎内の入国管理局では、カード型労働許可証を提示しても VISA延長ができない 事例が発生しています。

拒否の理由としては次の通りです。

  • カード記載情報が不完全で確認が取れない
  • QRコードが読み取れず、システム上で情報照会ができない

この不具合により、VISA延長ができず、いったんタイ国外へ出国せざるを得なかったケースも既に報告されています。さらに酷い事例では労労働働許可証の発行日が間違っており、その結果として、オーバーステイとなり罰金を請求されたというものがあります。

BOI企業向けのワンストップサービス拠点(One BangkokのThailand Investment and Expat Service Center)では、すでにカード型でのVISA手続きが可能となっていますが、バンコク都内総合政府庁舎内の入国管理局本部では見通しが立っておらず、係官は「来年までこの状況が続くかもしれない」と話しています。

労働省と入国管理局の間で十分な事前調整が行われておらず、連携不足が原因となっているとみられています。さらに、もともと労働許可証の電子化はベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーからの出稼ぎ労働者に対応するために導入する予定だったものが、システムを理解していない幹部が「すべての外国人を対象にしよう」と言い出したことも原因ではないかとされています。実際、表示言語は、タイ語と英語のほかは、ベトナム語、ラオス語、カンボジア語、ミャンマー語だけです。

カード発行段階でもトラブル 登録内容と不一致の事例も

カードの発行段階でも、

  • カードに印字された情報がオンライン登録時の内容と一致しない

という事例が報告されています。この問題がVISA延長拒否の一因にもなっており、制度全体の信頼性が揺らいでいます。

そのため、現場からは「制度そのものを一度見直すべきだ」との声も出ています。現時点で、オンライン申請にまつわる不具合がいつ解決するのかは不透明ですが、労働許可証電子化推進派の幹部が更迭され、慎重派の幹部が後任になったのは好材料となりそうですが、いずれにせよ抜本的な改善が急がれる状況が続いています。

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