タイでは2005年1月6日付首相府告示「アルコール飲料販売禁止時間の設定」により、アルコール飲料が販売できる時間帯が、午前11時から午後2時まで、午後5時から深夜0時までの10時間となりました。
ただ、そもそも論として、この規定ができた経緯については、タイのマスコミもはっきりしないと報じています。この規則が告示された時のタイの首相は今話題のタクシン氏でした。同氏はパフォーマンスとして公開閣議を数回行っていますが、ある回の議題のひとつがこのアルコール販売時間規制でした。担当閣僚から報告を受けたタクシン首相(当時)は「ホテルのレストランで昼間に酒を飲めないというのはおかしくないか」として、見直しを求めていましたが、結局、原案が変更されることはありませんでした。
アルコール飲料販売時間を制限した理由として、24時間買えると公務員が昼食時間を延ばして延々と飲み続けてしまうから、との説がタイ字紙に掲載されていましたが、実際のところは不明です。
アルコール飲料を終日販売できる3パターン
そして今回、アルコール飲料販売禁止時間に関する首相府告示が6月26日、官報で公布され、その翌日(27日)から以下の3項のいずれかに該当している場合は24時間販売できることになりました
- 国際線を運航する空港のターミナルビル内で乗客に提供する場合
- サービス施設に関する法律に基づき営業許可を受けた娯楽店で顧客に提供する場合
- ホテル法に基づくホテル内で提供する場合
ただ空港のコンビニや娯楽店、ホテルではもともとアルコール飲料を終日販売しており、私自身、禁酒前はスクムビット通りのバーやホテルで昼夜飲んでいました。律儀に規則を守っていたところもあるのでしょうが、少なくとも私の行動範囲でそのような店はありませんでした。
それでも、これからは合法的に飲めるわけですから、「ここは飲めますか?」と聞く手間が省けるのは愛飲家にとってはありがたいことです。
鉄道駅・列車と国立公園での販売は見送り
今回の規則変更前に議論されたのは、列車内およびすべての駅構内でアルコール飲料を販売できるようにするかどうかです。今年(25年)2月、タイ国鉄は特定の時間帯に限り、列車内での酒販売を許可するよう求めましたが、保健省は最後まで首を縦に振りませんでした。
タイ国鉄は、駅構内や列車内で酒が購入できれば観光促進につながると主張しまたが、昨年8月にタイ国内25駅で実施され、駅利用者3055人が回答した調査では、たまに酒を飲む人の80%、よく酒を飲む人の67%が駅や列車内での酒販売に反対しました。他の乗客への迷惑やセクハラを懸念する声は根強く、また、回答者の86%が2017年に列車内で起きた13歳少女が被害者となった強姦殺人事件が今も記憶にあるとしていました。飲酒により理性を飛ばす人もいるため、あえて列車内の安全を脅かすことはないということでした。
タイ国立公園野生動植物保護局も、公園長の許可があれば、国立公園内の特定の場所で特定グループが飲酒できるよう規則を改正しようとしていましたが、国立公園内での飲酒は来園者の迷惑になる恐れが高いことから、こちらも今回は見送られました。
なお、タイではこのほか規則上24時間、飲酒が禁止されている施設・場所として、官公庁・寺院や宗教施設・学校・医療機関・ガソリンスタンド・バスがあります。
タイの禁酒日は?
❶仏教関係の重要な祝日
敬虔な仏教徒の多いタイでは仏教関係の重要な祝日はアルコール飲料の販売および提供が禁止されます。これは、タイの仏教である上座部仏教の五戒のひとつ「不飲酒戒」に基づくものです。
2025年の仏教にまつわる禁酒日は以下の通りです
- 2月12日(水) マカブーチャ(万仏節)
- 5月11日(日) ヴィサカブーチャ(仏誕節)
- 7月10日(木) アサラハブーチャ(三宝節)
- 7月11日(金) カオパンサー(入安居)
- 10月7日(金) オークパンサー(出安居)
❷選挙前日から当日
選挙前日の18時から深夜零時、および当日終日がアルコール飲料の販売・提供禁止となります。選挙日当日、二日酔いで選挙に行けなくなることがないように、そしてしっかりと自分自身で考えて投票できるようにアルコール販売を中止したとする説がありますが、この他にも諸説があります。
そのひとつが、以前は立候補者が酒やご馳走をふるまい、自分に票を入れるように差し向けることが多々あったため、それを避けるという説。そして、異なった政党を支持している者同士がアルコールを引き金として感情的になりケンカを喧嘩することを未然に防止するという説もあります。
❸酒類提供を自粛する店もある王族の記念日
- 7月28日 国王誕生日
- 8月12日 王太后誕生日
- 12月5日 前国王誕生日

仏教関係の重要な祝日を簡単に説明しておきます。
- マカブーチャ(万仏節)
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釈迦が弟子1250人に説法したとされる日を記念する仏教の祭日。弟子たちは事前の召集なしに一堂に会したと伝えられています。
- ヴィサカブーチャ(仏誕節)
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釈迦の誕生・悟り・入滅の3つの出来事がすべて旧暦6月の満月の日に起こったとされる記念日。タイ仏教徒にとって最も神聖な日とされ、国連でも「国際仏教デー」として認定されています。
- アサラハブーチャ(三宝節)
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釈迦の誕生・悟り・入滅の3つの出来事がすべて旧暦6月の満月の日に起こったとされる記念日。タイ仏教徒にとって最も神聖な日とされ、国連でも「国際仏教デー」として認定されています。
- カオパンサー(入安居)
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僧侶は雨季の3か月間、寺院にこもって修行・学習に専念しますが、この期間の初日。外出して農作業や虫の生息を妨げるのを避けるためとされており、この日から禁酒や戒律遵守を誓う信者もいます。
- オーグパンサー(出安居)
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雨安居(カオパンサー)期間が終わる日。僧侶が再び外出や布教活動を行うことができるようになります。この時期、新しい袈裟や生活用品を寺院に寄進する信者が多く、地方ではカティン祭りとして盛大に行事が行われます。



