【2025年最新版】タイの飲酒・アルコール飲料販売ルールを徹底解説

2025年12月3日、タイ政府は一般小売店における午後2〜午後5時のアルコール飲料販売禁止を180日間の試行措置として解除しました。これにより、登録されたコンビニやスーパー、食堂などでは、午前11時〜24時までの13時間連続してアルコール飲料を販売できることになります。ただ、深夜0時〜午前10時については従来どおり販売禁止が続きます。

午後2〜午後5時の販売禁止は、約半世紀にわたり続いてきたタイ独自の規制でした。タイの公務員に飲酒をさせないことが導入理由との説がありますが、実際にはよくわかっていないそうです。ただ、観光業界や飲食業界からは解除を求める声が根強く、長年検討されてきましたが、保守派が反対したことでなかなか改定には至りませんでした。

今回の販売解禁はあくまで180日間の試験措置であり、2026年半ばをめどに政府が影響を評価し、本格的に実施するか、あるいは再び午後2〜5時を禁止時間帯に戻すかを決めることになります。

一方、2025年11月8日には改正アルコール飲料管理法(第2号)が施行されました。従来、タイのアルコール規制は主に「売った側」である販売業者を罰する仕組みでしたが、改正により、

  • 禁止時間帯に飲酒した場合
  • 禁止場所(寺院構内、役所、公園、ガソリンスタンドなど)で飲酒した場合

には、飲酒した消費者本人にも1万バーツ以下の罰金が科されることになりました。お酒を「持っているだけ」でも、状況によっては「飲酒目的」と見なされる恐れがあるとされています。

ただ、11月8日の施行直後、禁止時間帯に屋外で飲酒していた外国人観光客に罰金が科された事例などが報じらると、各国の大使館や観光当局が自国民に対し警鐘を鳴らしたことで、タイの観光にとってマイナスイメージとなることを恐れた政府が、「販売禁止時刻を過ぎた後も、禁止時刻前に購入した酒類であれば最大1時間までは店内や施設内で飲み続けることができる」という臨時措置を導入しました。つかり、深夜0時まで酒を販売するバーでは、0時以降に追加注文はできないものの、注文したアルコール飲料を飲み切るため、午前1時ごろまで店内もしくは敷地内に留まることができるというわけです。

このほか、販売側の義務も強化されました。店舗は、20歳以上かどうかを確認するために身分証明書(IDカードやパスポート)を確認できることが改めて明示され、泥酔して危険と判断される客には提供を拒む責務があるとされています。違反により人命や健康、財産に損害が出た場合には、損害賠償や営業停止、免許取り消しなど重い処分が科される可能性があります。

さらに、広告・マーケティング規制も大幅に拡大されました。

  • インフルエンサーや著名人による宣伝
  • アルコールブランドのロゴ入りノンアル飲料・飲料水やグッズによる間接広告
  • 各種イベントへのスポンサーシップやロゴ露出

など、販売促進につながるほとんどのPR行為が原則禁止とされています。違反した生産者・輸入業者・販売業者には、50万バーツ以下の罰金に加え、違反状態が続いた場合は1日ごとに5万バーツ以下の追加罰金が課される可能性があります。

目次

変わらない飲酒の基本ルール 年齢・時間・場所・オンライン販売

新たな制度変更が相次ぐ一方で、飲酒に関する基本ルールの多くは従来どおり維持されています。日本人駐在員や出張者が押さえておきたいポイントを整理します。

まず、法定飲酒年齢は20歳以上であることに変わりはありません。20歳未満への販売は一律禁止で、20歳未満と知りながら販売した場合、販売者に罰則が科されます。また、意識を失うほど酩酊した人への提供は禁じられており、政令等では妊婦や授乳中とされる女性への販売も禁止対象とされています。また、店側は年齢確認のため、パスポートなど写真付き身分証の提示を求めることが今後増えることになりそうです。

販売時間帯については、現在(2025年12月時点)、一般店舗では次のようになっています。

  • コンビニ、スーパー、一般食堂など
    • 酒類販売は原則午前11時〜深夜0時まで
    • 深夜0時〜午前11時は販売禁止
  • 娯楽施設(バー、クラブ等)
    • 許可された営業時間の範囲で提供可能(多くの地域では深夜1時ごろまで)
  • ホテル
    • 一定の条件を満たす場合、宿泊客向けに24時間販売が認められる範囲が拡大
  • 国際空港の免税店や一部ラウンジ
    • 免税店や許可されたゾーンに限り24時間販売可能

販売禁止日も引き続き継続されます。タイでは、販売時間の規制とは別に、次のような日は終日酒類販売が禁止されます。

  • 仏教の主要な祝日
    マーカブーチャ(万仏節)、ヴィサーカブーチャ(仏誕節)、アサラハブーチャ(三宝節)、カオパンサー(入安居)、オークパンサー(出安居)の5日が代表的で、全国的に一般店舗での酒類販売が禁止されます。2025年には一部例外として、国際空港内、ホテルなどでの販売が緩和されましたが、一般のコンビニやスーパーでは依然として1日中購入できません。

  • 選挙期間
    下院・上院選挙などの国政選挙では、投票日前日の18時から投票日終日は、全国的に酒類の販売および配布が禁止されます。地方選挙や住民投票でも同様の措置が取られることがあり、観光地のバーやレストランでも一斉に酒類提供ができなくなるケースもあります。

飲酒が禁止されている場所についても、大枠は変わっていません。法律上、次のような場所では、酒類の販売・飲酒が原則認められていません。

  • 寺院やその他の宗教施設
  • 政府機関・役所の建物および敷地内
  • 学校・大学など教育機関の構内
  • 公園や国立公園などの公共の公園
  • ガソリンスタンドおよび併設店舗
  • 一部の工場や事業所
  • バス・鉄道駅、バスターミナル、フェリー乗り場など
  • バス・電車・フェリーなど公共交通機関の車内

国際空港や長距離ターミナルでは、免税店や許可されたゾーンに限って飲酒・購入が認められますが、それ以外の場所で缶ビールを開ければ違反となり得ます。改正後は、「禁止場所で飲んだ本人」にも罰則が及ぶため、移動中に何気なく缶を開ける行為が以前にも増してリスクを伴うようになりました。

オンラインでの酒類販売禁止も継続しています。2020年12月以降、タイではウェブサイトやアプリ、SNS、チャットアプリなどを通じた酒類販売が全面禁止となっており、フードデリバリーアプリを通じた酒類配達も原則として認められていません。オンラインで注文し、配達してもらう日本の感覚は通用しないため、注意が必要です。

なお、飲酒ルールの一部として、飲酒運転規制も説明しておきます。一般ドライバーについては血中アルコール濃度0.05%未満が上限とされ、20歳未満や免許取得後5年未満、仮免許、職業ドライバーなどについては、より厳しい0.02%未満を上限としています。また、2024年の規則改正により、アルコール検査(呼気・血液)を正当な理由なく拒否した場合は、「基準値を超えた」とみなされる運用が導入され、取り締まりは一段と厳しくなっています。

日本人駐在員・出張者が気をつけるポイント

以上のように、タイの飲酒ルールは2025年に相次いで見直されました。そのため、タイでは次の4点を留意しておいてください。

時間帯の確認

一般店舗でアルコール飲料を購入できるのは原則午前11時から深夜0時までの13時間であり、それ以外の時間帯は販売禁止となります。ただ、午後2〜午後5時の「販売解禁」は180日間の試行措置であり、2026年半ば以降に再び禁止される可能性もあります。

❷飲酒禁止区域の確認

寺院や役所、公園、公共交通機関エリア、ガソリンスタンドなど「そもそも酒を飲んではいけない場所」で缶ビールを開けると、罰金の対象になり得ます。観光地では屋外でビールを飲みたくなる場面もありますが、その場所が禁止区域に該当しないかを確認することが求められます。

身分証明書の携帯

夜間に飲みに出る際、店側から年齢確認のためにパスポートなど写真付き身分証の提示を求められることがあります。タイは見た目が若く見える人に対して比較的厳格に確認を行うため、20代〜30代の童顔の日本人は特に注意が必要です。

移動手段の確保

飲酒運転に対する罰則は重く、アルコール検査の拒否は立場を悪くするだけです。「運転する日は飲まない」「飲む日は最初からタクシーや配車アプリ、公共交通機関を利用する」という前提で行動してください。

午後2〜午後5時の販売解禁は一見すると規制緩和に見えますが、その一方で、禁止時間帯・禁止場所で飲んだ本人にも罰金が科されるようになったこと、オンライン販売禁止や飲酒運転規制が変わらず厳しいままであることを踏まえると、むしろ「ルールを理解していない人」に対するリスクは高まったともいえます。タイでのビジネスや生活の中でお酒を楽しむ場面は少なくありませんが、最新のルールを頭に入れ、楽しいアルコールライフを送ってください。

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