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タイでも多くの患者がドナーを待っています。そのためタイ赤十字では臓器提供を呼び掛けています。

「遺体を焼いてしまえば何も残りません。しかし、死後に臓器を提供することで多くの人々に新たな人生を与えることができるのです」

タイ赤十字社臓器提供センターはタイ国民に対しそう呼びかけています。

タイでは生きているうちに臓器を提供できるのは、入籍した配偶者、家族・親族に対してだけです。とはいっても、心臓を提供するわけにはいかず、多くの患者が臓器提供者(ドナー)を長年待っている状況です。

タイ赤十字社臓器提供センターによれば、臓器移植を待っている人は3000人を超えているようですが、センターが提供できる臓器は年間でその5%にも達していません。

タイ人女性、タンヤパンさんは、数年前に当時23歳の長男をバイク事故で亡くしました。事故が起きた日の夜、担当医師から「脳死」を告げられたタンヤパンさんは、悲しみの中で気丈にも夫や親戚と話しあい、死亡した長男の臓器をタイ赤十字に提供することに決めました。

「焼いたらそれですべてが終わってしまう。生きた証はなにも残らない。でも臓器を提供することで、多くの人に新たな人生を与えることができる。わが子の死も無駄ではなくなる」

タンヤパンさんはそう考えたといいます。この時、提供した臓器は、眼、心臓、腎臓、肝臓。これで10人を超える患者に新しい人生を贈ることができました。

タイ人の中には「臓器を提供すると来世は身障者になる」と信じている人もいるといいます。しかし、著書も多い著名僧、ワチラメティ僧も「臓器提供は最高のタンブン(徳を積むこと)です。身障者どころか、来世はすばらしい身体で生まれ変わってくるに違いない」として信者に臓器提供を呼びかけています。

タイ赤十字が提供を受け付けるのは眼、心臓、腎臓、肝臓の4種類です。この中から提供する臓器を選べます。4種すべてでもいいし、心臓だけでもかまいません。ただ多くの人はすべての提供を希望するようです。なお、60歳以上の高齢者、ガン・感染症・糖尿病・心臓病・腎臓病・肝臓病・高血圧患者、およびアルコール中毒者は登録できません。登録後は臓器提供意思表示カードが発行されます。

このほかにも、死後、タイの医学部学生の人体解剖実習のための「献体」もタイ赤十字では受け付けています。献体した人のことをタイでは敬意を込めて「アチャーン・ヤイ(最高教授)」と呼びます。こちらも登録後は献体意思表示カードが発行されます。

タイに在住している日本人が死後に臓器提供、献体を希望する場合は、まず、タイ赤十字社臓器提供センターのホットライン(1666)に電話をして詳細を聞いてください。対応者により話す内容に微妙な違いがありますので、対応してくれた人の名前を聞いておくとよいでしょう。

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