タイの最低賃金制度は、地域の経済状況や生活費を考慮して設定され、近年では労働者の生活水準向上と経済成長を目的に段階的な引き上げが行われています。以下に、2025年時点の現状とこれまでの推移を説明します。
目次
2025年の最低賃金の現状
2025年1月1日より、タイの最低賃金は地域ごとに7〜55バーツ引き上げられ、日額337〜400バーツとなりました。平均引き上げ率は約2.9%です 。同年はさらに7 月1 日の閣議で、労働賃金三者委員会が決定した最低賃金改定案を承認されています。賃上げは同日付で施行。詳細は以下の通りです。
改定の概要
- バンコク都内の最低賃金を1 日400 バーツに引き上げ。
- 全国のホテル業における最低賃金を1 日400 バーツに引き上げ。
- 全国の娯楽施設業(カラオケ店やカクテルラウンジなどサービス施設法に基づく業種)も1 日400 バーツに引き上げ。
地域別の最低賃金(2025年7月1日施行)
| 新最低賃金 | 旧最低賃金 | 対象都県 |
| 400 | 372 | バンコク都 |
| 400 | 370 | プーケット県 |
| 400 | 361 | チョンブリ県 |
| 400 | 361 | ラヨン県 |
| 400 | 350 | チャチュンサオ県 |
| 400 | 400 | スラタニ県コサムイ郡 |
| 380 | 380 | チェンマイ県ムアン郡 |
| 380 | 380 | ソンクラ県ハートヤイ郡 |
| 372 | 363 | ナコンパトム県・ノンタブリ県・パトゥムタニ県・サムットプラカン県・サムットサコン県 |
| 359 | 352 | ナコンラチャシマ県 |
| 358 | 351 | サムットソンクラム県 |
| 357 | 350 | コンケン県・チェンマイ県(ムアン郡を除く)・プラチンブリ県・アユタヤ県・サラブリ県 |
| 356 | 349 | ロッブリ県 |
| 355 | 348 | ナコンナヨク県・スパンブリ県・ノンカイ県 |
| 354 | 347 | クラビ県・トラート県 |
| 352 | 345 | カンチャナブリ県・チャンタブリ県・チェンライ県・ターク県・ナコンパノム県・ブリラム県・プラチュアプキリカン県・パンガ県・ピサヌローク県・ムクダハン県・サコンナコン県・ソンクラ県(ハートヤイ郡を除く)・サケオ県・スラタニ県(コサムイ郡を除く)・ウボンラチャタニ県 |
| 351 | 344 | チュムポン県・ペッブリ県・スリン県 |
| 350 | 343 | ナコンサワン県・ヤソトン県・ラムプン県 |
| 349 | 349 | ガラシン県・ナコンシタマラート県・ブンガン県・ペチャブン県・ロイエット県 |
| 348 | 341 | チャイナ―ト県・チャイヤプム県・パタルン県・シンブリ県・アントン県 |
| 347 | 340 | カンペンペット県・ピチット県・マハサラカム県・メーホンソン県・ラノン県・ラチャブリ県・ラムパン県・ルーイ県・シーサケット県・サトゥン県・スコタイ県・ノンブアラムプ県・アムナートジャルン県・ウドンタニ県・ウタラディット県・ウタイタニ県 |
| 345 | 338 | トラン県・ナン県・パヤオ県・プレー県 |
| 337 | 330 | ナラティワート県・パッタニ県・ヤラ県 |
最低賃金の推移(過去20年)
タイの最低賃金制度は、1973年に導入されて以来、経済状況や物価変動、労働市場の動向に応じて段階的に改定されてきました。また、過去20年間で約2倍に増加。特に、バンコク周辺の経済発展が著しい地域では、約2.4倍の増加が見られます 。
主な改定の歴史
- 2013年:全国一律で300バーツ/日に設定 。
- 2018年:地域ごとに308〜330バーツ/日に引き上げ。
- 2020年:313〜336バーツ/日に改定。
- 2022年:328〜354バーツ/日に引き上げ。
- 2024年:330〜370バーツ/日に改定。
- 2025年:337〜400バーツ/日に引き上げ 。
最低賃金制度導入と主な改定の歴史
1970年代
- 1972年:タイ政府は、非熟練労働者の極端な低賃金を防ぐため、最低賃金制度の導入を決定しました。これは、内務省の通達に基づくもので、翌1973年から施行されました。
- 1973年:最低賃金制度が正式に導入され、地域ごとに日額最低賃金が設定されました。当初は、経済状況や生活費の違いを考慮して、地域別に異なる賃金が定められました。
1990年代
- 1998年:アジア通貨危機の影響を受け、賃金の引き上げが凍結されました。この年以降、3年間最低賃金が据え置かれました。
2000年代
- 2000年:バンコクの最低賃金は日額162バーツでした。その後、経済の回復とともに段階的な引き上げが行われました。
- 2001年:全国の最低賃金が3バーツ引き上げられ、地域ごとに異なる新しい賃金が設定されました。
2010年代
- 2013年:インラック政権の公約に基づき、全国一律で日額300バーツに引き上げられました。これは、1973年の制度導入以来、最大の引き上げ幅となりました。
- 2018年:地域ごとの経済状況を反映し、最低賃金が308〜330バーツの範囲で設定されました。これにより、再び地域別の賃金体系が導入されました。
2020年代
- 2020年:バンコクの最低賃金は日額331バーツに引き上げられました。これは、2000年の162バーツから約2倍の増加となります。
- 2024年:観光業の回復を支援する目的で、バンコク、プーケット、チェンマイなどの主要観光地で、4つ星以上のホテル(従業員50人以上)に勤務する従業員の最低賃金が日額400バーツに引き上げられました。
- 2025年:1月1日に全国の最低賃金が地域ごとに7〜55バーツ引き上げられ、日額337〜400バーツとなりました。平均引き上げ率は約2.9%です。さらに、7月1日にもバンコクや特定業種で引き上げが行われました
今後の展望
タイ政府は、2027年までに最低賃金を全国一律で日額600バーツに引き上げることを目標としています。これに向けて、段階的な引き上げが計画されており、労働者の生活水準向上と経済成長のバランスを図る政策が進められています。
タイの最低賃金制度は、経済状況や地域の特性を反映しながら柔軟に運用されてきました。今後も、労働者の生活向上と産業の競争力維持を両立させるため、適切な改定が行われることが期待されます。
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