返済額が新規融資額を超える。タイの企業は守りを強めています

  • 借入返済額が新規融資を超える状態が過去最高水準となりました
  • 返済の動きが特に目立つのは中小企業で、投資より負債圧縮と現金確保を優先しています
  • 2026年の商業銀行貸出は横ばいかマイナス成長が見込まれています

タイ大手商業銀行のカシコン銀行は、顧客による借入返済が増え、返済額が新規融資を上回る状態が過去最高水準に達したことを明らかにしました。景気回復が遅れ、先行きの不確実性が高まる中で、企業が成長の道筋を描きにくくなっていることが背景にあります。

同行のチョンラック共同頭取によると、多くの企業は新たな投資よりも、まずは借入金の圧縮と手元資金の確保を重視しています。銀行側には融資余力があるものの、経済環境が整わず、資金需要が盛り上がりにくい状況が続いていると説明しました。

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銀行が警戒する2つのリスク

今年の主なリスクとして同行が挙げるのは、利下げ局面で貸出金利と調達金利の差が縮小し、収益を確保しにくくなる点です。加えて、景気の伸びが鈍いことで、顧客の返済能力に対する信用リスクが残ることも懸念材料としています。

返済の動きが最も顕著なのは中小企業です。一方で、大企業の一部には事業拡大の余地があり、住宅ローンも分野によっては伸びが見られます。それでも、タイ経済全体としては成長が鈍化しており、今年は経済が自ら調整する局面にあると位置付けています。

2026年の貸出は伸び悩む見通し

こうした状況を踏まえ、2026年のタイの商業銀行システム全体の貸出は、前年比で横ばい(0%)か、マイナス1%になるとの見通しを示しました。返済額の増加が新規融資の伸びを抑える形になるとみています。

融資方針については、医療、観光、建設の一部や、付加価値を高める農業など、事業継続が見込める分野の顧客に対象を絞り、慎重な姿勢を続ける考えです。不良債権比率は、昨年に目標としていた3.25%以下の水準に近い状態が、今年も続くと想定しています。

また、米国、中国、ロシアの対立については、直接的な影響は限定的でも、世界経済を通じた間接的な影響は避けにくいとの見方を示しました。

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