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タイに進出したドン・キホーテ 開店フィーバーが一段落した後の一手に期待です

私が日本で暮らしていた頃、ドン・キホーテはまだなかったため、昨年10月、日本に一時帰国した際、友人に連れていってもらいました。場所はJR山手線・高田馬場駅前。ただ特に目を引く商品はなく、15分ほどで退店しました。

それでも、タイの店舗は果物および生鮮食品が充実しているとの情報がSNS等で発信されていたほか、「タイでの販売価格は日本と同じか、最大でも1.5倍まで」とのリリースも出されていたため、開店から1カ月ほど経った土曜日の午後、タイ人妻と一緒に昼食を兼ね買い物に行ってきました。

2007年の長崎屋買収から肉や魚の販売にも力を入れてきただけあり、1階の青果・生鮮食品の品揃えはなかなかのものです。2階には日本メーカーの化粧品・健康器具・パーティーグッズ・日用雑貨が並んでおり、日ごろタイのコンビニで買い物をしている身としては見ているだけでも十分楽しめます。

ただ、1カ月を経過してオープン当初のフィーバーは一段落。入場制限もなく、落ち着いて買い物ができるようになったのはありがたいのですが、そのせいなのか、価格のお得感はいくぶん薄らいでいるようです

開店当初はプロモーションの意味合いもあり、日本産イチゴを299バーツで販売。大変な人気で、すぐに完売となっていました。今回、さすがに299バーツは無理として、350バーツ以下を期待していたのですが、表示価格は499バーツ。タイ人妻から「299ならいいけど、499は高すぎ」と言われたため、購入を諦めました。その間、イチゴコーナーに立ち寄ったタイ人買い物客からは「299じゃないんだ。じゃ、いらない」との声が聞かれました。

私ももうひとつのお目当てがぺヤングソース焼きそば。日本のイオン価格が税込み159円(約45バーツ相当)となりますので、70バーツ程度を期待したところ、税込み99バーツ(約347円)。これも購入を控えました。タイでは以前、日本の食品は日本価格の2~3倍で販売されるのが普通でした。しかし近年、日本への旅行者が増えて日本での販売価格を知るタイ人が増えるにつれ、日本商品の稀少価値がなくなり、強気の商売ができなくなっています。そのため、中間手数料を極力省く努力をすることで2倍を切り、1.5倍程度で販売する業者も出てきました。ドンキはこれをさらに進め、日本と同じ価格か、最大でも1.5倍までと公言していましたが、プロモーション商品以外はなかなか難しいようです。

ドン・キホーテは店舗ごとに販売戦略を変え、売り場担当者の権限を高める方式で成功してきました。これまで米国、シンガポールに海外展開していますが、日本を含めこの3国のノウハウを経済レベルの異なるタイで生かすのはなかなか難しいのかもしれません。

タイの経済指標はそれほど悪化していませんが、それは一部の企業が業績を上げているからで、一般庶民は「タイは景気が悪い」と感じています。タイ政府および日本の一部マスコミは、タイは中間所得層が拡大しており購買力も伸びているともてはやしますが、その中間所得層の生活は決して楽ではありません。家と車のローン、子どもの教育費、将来の不安感からくる保険費の拡大。食費にしても健康志向の高まりからオーガニックなどは伸びていますが、総じて節約傾向にあります。

開店直後のフィーバーが終了した今、ドン・ドン・ドンキがどのような戦略を打ち出すのかが楽しみです

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