- タイは2026年1月1日から、新車(赤ナンバー)にかかる自動車物品税をCO2排出量に連動させ、排出が少ないほど税負担が軽くなる仕組みに切り替えます。
- BEVの新車税を8%から2%へ引き下げる一方、電動ピックアップは0%から2%へ引き上げます。ガソリン車や高排気量車は増税となります。
- 毎年更新する自動車税(登録更新時の税)は当面据え置きで、排気量(cc)と車齢で算定します。
- タイ開発研究所は、今後増える使用済み電池の管理制度が不十分だとして、環境・健康リスクへの備えを急ぐべきだと警鐘を鳴らしています。
タイの物品税当局は2026年1月1日から、新車(いわゆる赤ナンバー)に適用する自動車物品税(新車税)を、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないほど税負担が軽くなる仕組みに改めました。
一方、陸運局で毎年更新する自動車税(登録更新時に納付する税)は税率を据え置き、排気量(cc)と車齢で算定します。たとえば4ドア乗用車で車齢5年以内・排気量1200ccの場合、年1200バーツのままです。
新車税はどう変わるのか
新車向け物品税の税率は、車種とCO2排出量などで決まります。
ガソリン車など内燃機関車(ICE、排気量3.0L以下)は、CO2排出量に応じて段階的に設定します。100g/km以下が13%、100超120g/km以下が22%、120超150g/km以下が25%、150超200g/km以下が29%、200g/km超が34%です。排気量3.0L超の高級車・スーパーカーは50%としました。
ハイブリッド車(HEV)とマイルドハイブリッド車(MHEV)は、排気量3.0L以下でCO2排出量100g/km以下が6%、100超120g/km以下が9%、120超150g/km以下が14%、150超200g/km以下が19%、200g/km超が24%です。排気量3.0L超は40%とします。
プラグインハイブリッド車(PHEV)は、1回充電あたりのEV走行距離が80km以上で5%、80km未満で10%です。排気量3.0L超は30%とし、ADAS(運転支援)を少なくとも2系統搭載すること、さらに2026年からタイ国内製の電池を使用することを条件としました。
これに対し、電気自動車(BEV)は税率を8%から2%へ引き下げます。ただ、電動ピックアップは0%から2%へ引き上げました。
価格への影響と、制度に向けられる疑問
当局は、2026年1月1日以降に購入する新車について、とくにガソリン車で価格が5000バーツ以上上がるとみています。特に、排気量3.0L超の高級車やスーパーカーは、値上げ幅が数十万〜数百万バーツになる見込みです。人気のハイブリッド車も、従来4%だった新車税が6%となり、2ポイント上昇します。
当局側は、この税制変更を「2050年のカーボンニュートラル」および「2065年のネットゼロ」目標に向けた国家戦略の一環と位置付け、EV普及策の1つだとしています。その一方で、EV普及の進め方や、今後増える使用済み電池(EoL)の処理体制をめぐって、疑問の声が出ている点も付け加えられました。
タイ開発研究所が警鐘、使用済み電池の受け皿不足
タイ開発研究所(TDRI)は、直近3年でタイの電池需要が増え、とくに輸送分野で拡大していると報告しています。
輸入実績では、EV向けリチウムイオン電池が累計170万パック超で、輸入額は169億7600万バーツ超です。ニッケル水素電池も10万個超で、33億2100万バーツ超にのぼります。主な輸入元は中国、日本、ドイツ、スロベニア、フィンランドの5カ国で、これらの電池は2032年以降に順次寿命を迎える見通しだとしています。
使用済み電池を不適切に処理すると、土壌・水系への重金属流出など環境汚染につながりかねません。健康面でも、神経系や呼吸器などへの影響が深刻になり得ると指摘します。現在のタイには使用済み電池を包括的に管理する十分な制度がないとして、適切な受け皿がなければ、増え続ける電池廃棄物が長期的な負担になり得ると警鐘を鳴らしました。

・タイ物品税局(Excise Department):https://www.excise.go.th/
・(参考)PHEVの条件等が記載された物品税局の公告PDF:https://excise.go.th/cs/groups/public/documents/document/dwnt/nje3/~edisp/uatucm617209.pdf
・タイ陸運局(Department of Land Transport):https://www.dlt.go.th/
・経済産業省(自動車・GX関連):https://www.meti.go.jp/
・国土交通省(自動車制度・交通政策):https://www.mlit.go.jp/
・環境省(脱炭素関連):https://www.env.go.jp/

