【ビザ】タイDTV申請、8月31日から永住証明と無犯罪証明が必須に

タイの長期滞在ビザのひとつである「デスティネーション・タイランド・ビザ」(DTV)は、リモートワークをしながら長期滞在したい人などを対象として2024年に導入された制度です。5年間有効の数次査証(ビザ)で、1回の入国につき最大180日間の滞在が認められるため、日本からタイへ移住を検討するビジネスパーソンや、タイを拠点にしながら日本企業の仕事を続けたいフリーランサーの間で関心が高まっています。

そのDTVですが、在東京タイ王国大使館がタイ外務省の発表に基づき、必要書類の変更と追加を公表しました。この新しいルール2026年8月31日午前0時(タイ現地時間)から適用されています。これから申請を検討している人にとって見逃せない内容ですので、変更点と背景を整理してお伝えします。

目次

「DTV」はどのようなビザなのか?

デスティネーション・タイランド・ビザ(DTV)は、タイ国内で働くための就労ビザではなく、海外の企業や派遣元の仕事をタイに居ながら続ける人などを想定したもので、対象となるのは、主に次のような人たちです。

  • 日本など海外の企業に雇用されたまま、タイでリモートワークを行う人
  • 海外の顧客と取引するフリーランサーやオンライン事業者
  • ムエタイ修行やタイ料理教室、長期間有料セミナー参加といった、タイの文化や技術を学ぶ活動(いわゆるソフトパワー活動)を目的とする人
  • タイでの医療滞在を目的とする人

取得の条件としては、申請者が20歳以上であることに加え、十分な生活資金を保有していることを示す必要があります。目安として、50万バーツ(約240万円)以上の銀行預金残高証明書が求められます。ただ、為替相場によって円換算額は変動するため、正確な金額は申請時点のレートで確認することをお勧めします。

資金証明については、単に申請時点の残高だけでなく、直近6カ月分の取引履歴を示す通帳や入金明細の提出を求められるケースもあります。申請直前に慌てて大きな金額を口座に入金しても、履歴が浅いことで資金の出所を疑われ、審査に時間がかかる場合があるため、余裕を持って準備しておくことが大切です。

活動目的に応じて提出書類も異なります。リモートワーカーであれば雇用契約書や勤務先企業が発行する在籍証明書、フリーランサーであれば実績を示すポートフォリオ、ムエタイなどの文化活動であれば受け入れ先機関が発行する証明書(招待状)などの提出が必要です。

DTVは、タイ国内での就労を目的とするビザではない点にも注意が必要です。認められているのはあくまで、タイ国外の雇用主や取引先に対して行うリモートワークであり、タイ国内の企業から直接報酬を受け取って働く場合や、タイ国内の顧客にサービスを提供する場合には、該当するカテゴリーのビザおよびワークパーミット(就労許可)が必要となります。

滞在日数については、1回の入国で最長180日まで滞在できるほか、タイ国内のイミグレーションオフィスで一度だけ180日間の延長手続きを行うことで、連続して最長360日間タイに滞在することができます。360日間の連続滞在を終えた後は、一度タイ国外に出国してから、あらためて次の180日間の滞在を開始する流れになります。

なお、タイの税制上、暦年で通算180日を超えてタイに滞在した場合は税務上の居住者とみなされ、国外で得た所得の一部についてタイでの申告義務が生じる可能性があります。この点は個々の所得の種類や送金状況によって扱いが異なるため、長期滞在を予定する人は事前に税務関係者に確認しておくことをお勧めします。

変更点1 永住資格を証明する書類の追加

在東京タイ王国大使館などの発表によりますと、これまでDTVの申請には「現在の居住地を示す書類」の提出で事足り、多くの場合、賃貸契約書や公共料金の請求書なども認められていました。 今回の変更では、この書類が「申請を行う国における永住資格を証明する書類」に置き換えられます。在東京タイ王国大使館に申請する場合、該当する書類は次の通りです。

  • 日本国籍を持つ申請者は、マイナンバーカードのコピー
  • 日本国籍を持たない申請者は、「永住者」の在留資格が記載された在留カードのコピー

つまり今後は、単にその国に滞在しているだけではなく、その国の国籍者であるか、正式な永住資格を持っていることを書類で証明する必要が生じます。これまで、タイから一時的に近隣国へ出国し、その国のタイ大使館でDTVを申請するといった方法をとる人もいましたが、こうした申請方法は今回の変更により難しくなります。申請は原則として、自分の国籍国か、永住資格を持つ国のタイ大使館・領事館で行うことになります。

変更点2 犯罪経歴証明書の提出義務化

もう一つの大きな変更は、犯罪経歴証明書、いわゆる無犯罪証明書の提出が新たに義務付けられたことです。申請者の国籍国、または申請を行う国の当局が発行する証明書の提出が必要になります。

在東京タイ王国大使館に申請する場合は、日本の警察が発行する犯罪経歴証明書(発行から3カ月以内のもの)が該当書類となります。なお、14歳未満の子どもが家族としてDTV保持者に帯同して申請する場合は、その子ども本人名義の証明書ではなく、同行するDTV保持者本人の犯罪経歴証明書を提出すればよいとされています。 犯罪経歴証明書は取得までに一定の日数がかかる書類です。申請を予定している人は、早めに準備を始めておくことをお勧めします。

変更の背景にあるのは世界的な審査厳格化

今回の書類変更は、東京のタイ大使館だけで発表されたものではありません。タイ外務省は同時期に、世界各国のタイ大使館・領事館に対して同様の方針を通知しており、英国やラオスなど複数の在外公館でも、永住資格の証明書や犯罪経歴証明書を追加で求める発表が行われています。

この変更の背景には、DTVがもともと想定していたよりも幅広い層に利用され、なかにはタイ国内に一時的に住んでいる外国人が、隣国のタイ大使館まで出向いて申請するといった、いわゆるビザランに近い運用も見られていたことがあります。タイ政府には、申請者の身元や本来の居住実態をより厳格に確認する狙いがあるようですが、この点についてタイ外務省の公式な見解は確認できていません。

これからDTVを申請する場合の留意点

タイに拠点を置きながら日本企業の仕事を続けたい、あるいはタイでのソフトパワー活動を目的にDTVの取得を考えている場合、今後は次の点を事前に確認しておく必要があります。

第一に、自分がどの国のタイ大使館・領事館で申請できる立場にあるかという点です。国籍国か、正式な永住資格を持つ国が対象になるため、第三国での申請を予定していた人は計画の見直しが必要になる可能性があります。

第二に、犯罪経歴証明書の取得です。日本国内であれば警察署や都道府県警察本部への申請が必要となり、発行までに日数を要する場合があります。渡航や滞在の計画に余裕を持たせておくと安心です。

第三に、必要書類は大使館や領事館ごとに細部が異なる場合があるため、実際に申請する窓口の最新の案内を確認することが必要です。今回ご紹介した内容は、在東京タイ王国大使館の発表に基づくものです。申請前には、必ず申請予定の大使館・領事館の公式情報を確認するようにしてください。

DTVは2024年5月28日にタイ内閣で導入が決定し、同年7月15日から申請受付が始まった、比較的新しいビザ制度です。導入から2年ほどが経過するなかで、今回のような運用ルールの見直しがすでに複数回行われており、今後も申請条件が変わる可能性は十分にあります。タイでのリモートワークや長期滞在を計画する日本人にとって使い勝手のよい制度である一方、要件変更のたびに準備の手間が増えることも事実です。タイ進出やタイでの就業形態を検討する企業の担当者、個人事業主の方は、申請直前になって慌てることのないよう、大使館・総領事館の公式サイトで最新情報を定期的に確認しながら準備を進めることをお勧めします。

在京タイ王国大使館サイト(DTV関連ページ)

https://site.thaiembassy.jp/jp/news/consular/14286

https://site.thaiembassy.jp/jp/visa/about/13355

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