タイ政府が日本を含む93カ国の60日ビザ免除を中止します。

タイ政府は2026年5月19日、日本を含む93カ国・地域の一般旅券所持者に適用していた60日間のビザ免除措置を廃止する方針を正式に決定しました。スラサック観光スポーツ相が閣議後に首相府で発表したもので、廃止後は大半の国が従来の30日以内の滞在に戻る見通しです。

この60日ビザ免除は、新型コロナウイルス感染拡大後の観光客回復を急ぐ目的で2024年7月から導入され、対象国も当初の57カ国から93カ国へと拡大されていました。タイ英字紙「バンコクポスト」によれば、2026年1月から5月17日までの外国人入国者数は前年同期比3.3%減の1290万人にとどまっており、観光回復が足踏みするなかでの政策転換となります。

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不法就労と詐欺拠点が廃止の引き金に

60日ビザ免除廃止に踏み切った最大の理由は、制度の悪用です。一部の外国人が観光を口実に長期滞在を繰り返しながら、不法就労やグレービジネスに従事するケースが急増しました。タイ当局はコールセンター詐欺の拠点化も問題視しており、プーケットやコ・サムイなどの観光地では、地元法人の7割近くが外国人による名義貸し企業(ノミニー企業)と疑われるケースも報告されています。イミグレーションは長期にわたり入国審査の厳格化を求めており、今回の決定はこうした安全保障上の懸念を踏まえたものともなっています。

新基準の策定はビザ政策審査委員会が国別に改めて審査を行い、安全保障と経済効果の双方を考慮しながら適切なビザ種別を判断します。今後、関係部署への通知、政府の正式承認、官報掲載を経て施行となりますが、それがいつになるのかは現時点で公表されていません。ただ、正式決定前に入国している旅行者は、取得済みのビザ条件が引き続き適用されます。

日本人ビジネスパーソンへの実際の影響

タイ観光スポーツ省は、外国人観光客の平均滞在期間は1〜2週間程度であり、30日への変更は大多数の旅行者に実質的な影響を与えないとの見解を示しています。短期出張を主とする日本人ビジネスパーソンも、多くのケースで30日の範囲内に収まるため、直接的な影響は限定的とみられます。

一方、タイを生活・業務の中長期的な拠点として活用していた方や、ビザ免除での滞在を繰り返していたデジタルノマドやリモートワーカー層には一定の影響が生じる可能性があります。30日を超える滞在を希望する場合は、デスティネーション・タイランド・ビザ(DTV)や長期居住者(LTR)ビザなど、別途適切なビザを事前に申請することで対応できます。

具体的な国別の新基準は審査委員会の結論を待つ必要があり、現段階では詳細が明らかにされていないため、今後の公式発表待ちとなります。タイ政府は今後、訪問者数の拡大よりも購買力の高い旅行者の誘致と滞在の質的向上に軸足を移す方針で、「プレミアム・デスティネーション」としての戦略を進めていくとのことです。

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