【タイの話題】金取引の新税は見送りも業界に課された「厳しい条件」とは?

バンコクの中心部には「ヤワラート」と呼ばれる中華街があり、金の専門店(金行)がずらりと並んでいます。タイ全土には推定6000軒もの金の専門店があるといわれ、タイの人にとって金は貯金代わりの大切な財産です。結婚式やお祝いの時にも金の装飾品を贈る習慣もあります。そんな金の取引に新しい税金がかかるかもしれない、という話が業界をざわつかせていました。しかしタイ財務省歳入局は、今のところ金取引への新規課税は見送ると金取引業者協会に伝えました。

背景には、世界情勢の不安から金の人気が高まり、タイ国内の金取引の規模が急激に膨らんでいる事情があります。業界関係者の推計では、2025年のタイ国内の金取引額はおよそ10兆バーツ(日本円でおよそ48兆円)にのぼり、前の年の2倍に増えたともいわれています。また同じ年にタイは180トンの金を輸入する一方で110トンを輸出しており、金を輸出して得た外貨が流れ込むことがタイの通貨バーツを値上がりさせる一因にもなっているといいます。

政府内では投機を抑えて税収も得ようと課税案が浮上していましたが、税金をかけると正規の取引が地下に潜ってしまい、免税を武器にする香港やシンガポールのような海外市場にお客を奪われかねないと業界側が強く反発していました。

一方で財務省は、犯罪組織や国際的な詐欺グループが金塊を使って不正なお金を洗浄する事例が相次いでいることを警戒しています。そこで金取引業者協会には、大口の現金取引では購入者の身元をしっかり確認する仕組みや、取引記録の管理体制を強化するよう求めることにしました。業者協会側もこの方針を歓迎しており、資金洗浄防止を担う当局や中央銀行とデータを連携させ、健全な市場づくりに協力する姿勢を示しています。庶民の財産である金市場の勢いを保ちながら、犯罪の温床にはさせない取り組みが続くことになりそうです。

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