【タイの話題】証券取引委、警察との合同捜査権を獲得へ「容疑者逃亡阻止」

タイの証券市場で粉飾決算やインサイダー取引が起きても、これまでSEC(証券取引委員会。タイの証券市場を監督する政府機関で日本の証券取引等監視委員会にあたる組織)だけでは強制捜査ができませんでした。警察や法務省特別捜査局へ告発して対応を待つ間に証拠が消えたり、容疑者が海外へ逃げてしまったりするケースもあったといいます。

こうした弱点を補うため、2026年8月25日、タイ内閣は証券取引法やデジタル資産事業に関する法律など計4本の改正案を承認しました。近年、タイの株式市場では企業の不正会計事件が相次いで報じられ、市場の透明性を疑問視する声が上がっていたこともこの背景にあります。

最大の変更点は、SECの職員が警察の捜査員と合同で捜査に参加できるようになることです。SECが持つ会計や市場に関する専門知識と、警察の捜査ノウハウを組み合わせることで、これまで長い時間がかかっていた捜査を大幅に短縮できると期待されています。

あわせて、上場企業の決算を監査する監査法人についても、SECの承認を受けた事務所に限定するなど、監督を強化する方針です。行政罰として新しい罰金制度を導入するほか、成長が続くデジタル資産市場を健全に育てるためのルール整備も盛り込まれました。

改正を主導したエクニティ副首相兼財務相は、これらの改革がタイの資本市場を国際基準に近づけ、投資家保護と市場への信頼回復につながると説明しています。SECのポーンアノン事務局長も、二つの機関が専門性を持ち寄ることで摘発の実効性が高まると強調しました。

ただし今回はあくまで内閣が承認した段階です。実際に法律として効力を持つには、この後国会での審議を経る必要があり、施行までにはまだ時間がかかる見通しです。

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