タイでは今、鉄道の貨物列車が首都バンコクを通らずに南部から北部・東北部へ抜けられる新しいルートの計画が進んでいます。発表したのはタイ交通省の鉄道交通局(DRT)です。
計画されているのは、バンコクの西に位置するスパンブリ県と、古都として知られるアユタヤ県のバーンパーチーを結ぶ全長73.8kmの新路線です。DRTのピチェート局長によると、この区間は現鉄道網の「つながっていない部分」にあたり、ここがつながることで南部方面からの貨物列車が、混雑するバンコク都心を経由せずに北部線や東北部線、さらには東部の臨海工業地帯まで直接向かえるようになるといいます。日本で例えるなら、都心の乗換駅を通らずに済むバイパス路線が新設されるようなイメージです。
新路線には5つの駅と、貨物を積み替えるための大規模なヤード(積み替え拠点)が2カ所設けられる予定です。実務を担うタイ国有鉄道(SRT)は現在、詳細な設計と環境影響評価(EIA、開発が周辺環境に与える影響を事前に調べる手続き)を進めており、完了は2027年1月の見込みです。
SRTは今年5月にも、路線が通る予定地の住民向け説明会をスパンブリ県内で開いており、地元の意見を聞きながら計画を具体化させている段階です。ルートはスパンブリ、アントン、アユタヤの3県を通る見込みで、アユタヤ〜アントン間は遊水地(雨期に水を一時的にためる土地)を通るため、線路の一部が高架になる見通しだと報じられています。
この路線は、農産物や工業製品をより効率よく運ぶための重要インフラと位置づけられています。トラック輸送から鉄道輸送へと切り替えることで、道路の混雑や環境への負荷を減らす狙いもあるそうです。タイ政府は、鉄道網全体をシームレスにつなげることで、東南アジアの物流拠点としての地位をさらに高めたいとしています。

