タイでは今、AIやクラウド需要の急増を背景に、海外IT企業による大規模データセンターの建設ラッシュが起きています。こうした施設は大量の電力を必要としますが、現行制度では発電事業者から電力を直接買うことができず、電力公社を経由した購入しか認められていません。
このため、タイ最大の経済団体であるタイ工業連盟(FTI)傘下の再生可能エネルギー業界クラブは7月24日、かつて「アダー制度」という補助金付き買取価格の適用を受けていたが、その期限が切れた発電事業者について、政府(電力公社)へ卸値で売電し続けるのではなく、電力を大量に必要とするデジタル、電子部品、自動車、アルミ、鉄鋼、食品といった業種の企業へ直接売電できるよう制度を改めるべきだと提言しました。対象となる発電容量は合計2,596メガワットにのぼります。アダー制度は2006年、再エネ投資を促すために導入された補助金付き買取制度ですが、電気代を押し上げているとの批判も根強くありました。
なお、政府はこれとは別に、データセンター向けに再エネを直接調達できる「直接PPA」制度の試験導入も既に進めており、対象業種をさらに広げる方向で検討を続けています。タイでは現在、発電事業者と需要家が電力会社を介さず直接売買する「相対取引」自体が原則禁止されており、今回の提言はこの規制緩和を求めるものです。

