タイでは今、我が子に「偽の父親」を用意してタイ国籍を取得させようとする事件が大きな話題になっています。今回、20年近くタイで暮らしてきたという中国人夫婦を含む4人が逮捕されました。
夫婦は、あえてタイ人男性2人にお金を払い、出生届の上だけ「父親」として届け出させていたのです。タイでは血縁のないタイ人男性が子を認知する「任意認知」という制度があり、これを悪用すると外国人の子どもでも簡単にタイ国籍を得られてしまいます。今回の事件では、8つの私立病院や区役所が関わり、これまでに約1500人もの子どもが不正にタイ国籍を取得した疑いが浮上しています。
事件の発端は2024年、中国人男性チェン・インライ容疑者が700億バーツ規模のコールセンター詐欺・資金洗浄事件で逮捕されたことに始まります。捜査の過程で、その妻ら親族の子どもが不正にタイ国籍を持っていたことが発覚。その後、芋づる式に同様の手口が次々と明らかになっていきました。
タイでは外国人による土地所有や特定業種への参入に厳しい制限があるため、こうした「ノミニー(名義貸し)」に頼る地下ビジネスが後を絶ちません。政府はすでに全国878の区役所に対し、外国人が親の場合は窓口での本人確認を義務付けるなど、制度の見直しに着手しています。

