タイの国民健康保険でホルモン治療が無料 6月開始

日本でホルモン治療を受けるとなると、保険が使えない「自由診療」となり、月々数万円かかることも珍しくありません。ところがタイでは、2026年6月から、この治療が国の基本的な健康保険でまるごと無料になりました。タイ国家医療保障局(NHSO)は、通称「ゴールドカード」と呼ばれる30バーツ医療制度――タイ国民なら誰でも入れる国民皆保険のような仕組み――のもとで、トランスジェンダーの人々向けにホルモン療法とカウンセリングを無料提供する新制度をスタートさせたのです。6月から全国50の医療機関で受付が始まる予定で、民間クリニックやバンコク都の保健センター、公立病院などが対象になります。

用意されるのは、女性ホルモンの内服薬・外用薬、男性ホルモンの注射薬、男性ホルモンの働きを抑える飲み薬、脳の指令を止めて性ホルモンの分泌そのものを抑える注射薬など、4つのカテゴリー・計8種類の薬剤です。さらに定期的な健康診断やメンタルヘルス相談、血液検査もセットで受けられます。予算は1億4000万バーツを超えており、これまで自己負担で月1000~2000バーツほどかかっていた治療費が、まるごと無料になる計算です。

背景には、正規の医療を受けられず闇市場の薬に頼って健康を損なう人が相次いでいた現状への対策という側面もあるそうです。発表のタイミングは、20万人規模の参加が見込まれた「バンコク・プライド2026」(5月31日)のすぐ後でした。すでに同性婚も法制化されているタイ社会の、多様性への向き合い方の本気度がうかがえる出来事です。

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