処方箋提示ルールから1年、形骸化するタイの大麻規制

タイ政府は2025年6月、東南アジアで先駆けて行った大麻合法化(2022年)を事実上撤回し、購入に医師の処方箋(PT33)提示を義務付ける新規則を施行しました。そのため、合法化当時1万8000店超あった販売店のうち約7300店がすでに閉鎖し、表向きには「医療限定」への移行が進んでいるように見えます。

しかし合法化撤回からほぼ1年が経過した2026年5月、バンコクポストや業界メディアの現地調査が示したのは、規制と現場の大きな乖離でした。大麻推進派として知られるチョクワン・チョパカー氏は「合法的な購入プロセスには従っている者はほとんどいない」と明言しています。大半がまず販売店で購入。その後店側とつながりのある伝統医療クリニックが診断書と処方箋を事後発行・登録するという手順が横行しているといいます。あるオランダ人利用者も「バンコクの店でPT33を求められたことは一度もない」と証言しています。

タイ保健省は2026年4月、ライセンス期限に合わせた3年間の移行猶予期間を設けましたが、現行規則では猶予中の店舗も処方箋なしの販売は禁じられています。厳格な規制と「現場の流儀」が静かに共存するこの構図は、タイらしい「柔軟さ」とも言えます。名目上の「医療限定」という看板の裏で、嗜好用市場が根強く生き続けています。

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