「ビーチは皆のもの」 タイ首相が宿泊客専用にダメ出し

プーケットやサムイ島のビーチリゾートで、ふと足を止めたことはないでしょうか。「ここから先はホテルの敷地?」「一般客は入れないの?」——そんな迷いを感じた日本人旅行者は少なくないはずです。

5月13日、アヌティン首相はパガン島を直接視察し、はっきりこう宣言しました。「ビーチはすべての人のものだ。ホテルであろうと、誰にも独り占めする権利はない」。タイの法律では海岸線はすべて公有地と定められていますが、一部のリゾートが宿泊客専用として事実上囲い込むケースが長年問題視されてきました。今回の発言は、その現実に正面から切り込むものです。

視察の背景にはさらに深刻な問題がありました。パガン島に登記された企業の約67%——4,761社中3,213社——に外国資本が関与しており、うちイスラエル系が22%、フランス系が13%、英国系が11%を占めています。タイの法律では外国人の土地所有は原則禁止されていますが、タイ人を名義上の株主に立て、実質的に外国人が経営・所有する「ノミニー(身代わり)ビジネス」が横行しているのです。首相は「外国人の持ち株比率は49%以下に制限されているにもかかわらず、複数の企業が株式の持ち合い構造を使ってタイ法人に見せかけ、実態は100%外国人が支配している」と指摘しました。

この日、タイ当局はパガン島内の32か所を家宅捜索し、ノミニー構造に関与していた27社と37区画の土地(総額約1億5,000万バーツ相当)を特定しました。タイ政府が「観光立国」の足元を洗い直す、大規模な浄化作戦の幕開けです。

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