棺の前でセクシーなダンサーが音楽に合わせて踊る——。日本人の感覚では少し面食らうかもしれませんが、これはれっきとした「故人の遺言」を叶えた葬儀の一コマです。
2026年4月20日深夜、タイ南部ナコンシータンマラート県ロンピブン郡で執り行われた59歳の男性・ウィニッジさんの葬儀が、SNSで大きな話題となりました。仏教式の読経が終わり、僧侶たちが寺に戻った後、遺族が音響装置を積んだトラックとコヨーテ・ダンサー3人を手配。棺の前でパフォーマンスが繰り広げられ、その様子がFacebookでライブ配信されました。
慢性疾患を患っていたウィニッジさんは生前から、家族に「葬式にはコヨーテ・ダンサーを呼んでほしい」と”遺言”していたといいます。地元メディアによれば、故人は「楽しいことが好きで明るい人柄」として村人たちから慕われていました。
式場には地元住民が大勢集まり、驚きと笑い、そして一部からの批判が交錯しました。高齢の参列者の中には「葬儀の場にふさわしくない」と眉をひそめる声もありましたが、若い参列者の多くは「悲しみを和らげ、故人の人生を祝う方法として受け入れた」といいます。
タイには「故人を明るく送り出す」という考え方が根づいており、生前の個性を葬儀に反映する文化的な寛容さがあります。今回の映像はTikTokでも急拡散し、「タイらしい」「最高の見送り方だ」といったコメントが世界中から寄せられました。悲しみを笑顔で包むタイの生死観が、改めて世界の注目を集めた出来事です。

