バンコクに73万戸の空き家:建設ラッシュ後に融資規制強化とコロナ禍

バンコクの夜景は美しい。高層ビルが林立し、ネオンが川面に映え、活気に満ちた都市のイメージが広がります。しかしその華やかなスカイラインの内側で、今夜も明かりの灯らない部屋が無数に存在しています。

タイ全土で164万戸もの住宅ユニットが空き家状態にあり、そのうち73万戸がバンコク首都圏に集中しているのです。空き家の経済的損失は約3.45兆バーツ(約15兆円)にのぼり、タイの年間国家予算に匹敵する規模といいます。

なぜこうなったのか。背景には2010年代後半の建設ラッシュがあります。スカイトレイン(BTS)の新路線延伸に合わせ、デベロッパーが郊外にコンドミニアムを競って建設しました。しかし2019年の銀行融資規制強化、翌年のコロナ禍による渡航制限が外国人購入者を直撃。完成した物件が次々と宙に浮きました。

追い打ちをかけるのが、タイ国内の家計の苦しさです。家計債務はGDP比88.2%に達し、アジアでは韓国に次ぐ水準。住宅ローンの審査否決率は40%に達し、300万バーツ(約1,200万円)以下の物件では70%に迫るケースもあります。若者が家を買いたくても、銀行が首を縦に振らない現実があります。

さらに外国人投資家にとっては、銀行口座の突然凍結という不安も加わっています。本人確認の強化を名目に、警告なしで口座が使えなくなる事例がタイ人だけでなく、在タイ外国人の間でも相次いでいます。

一方、チェンマイはミャンマーや中国からの購入者に支持され、回復を見せています。バンコクが静かに空洞化するなか、タイ不動産市場の地図は静かに塗り替えられています。

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