「暑い国」として知られるタイですが、その未来はさらに過酷なものになりそうです。ASEANエネルギーセンター(ACE)が発表した最新レポートによると、バンコクは2050年までに東南アジアの主要都市のなかで最も高い気温を記録する都市になると予測されています。
現在、バンコクでは気温35℃を超える「猛暑日」が年間約45日あります。それが2050年には約120日、つまり1年の3分の1以上が猛暑日になるというのです。平均最高気温も現在の33.3℃から38.1℃まで上昇する見通しで、ホーチミン市(37.7℃)やマニラ(37.2℃)、クアラルンプール(36.9℃)を抑えてバンコクがワースト1位になるとされています。
背景にあるのは気候変動に加え、急速な都市化が引き起こす「ヒートアイランド現象」です。コンクリートとアスファルトが日中に熱を吸収し、夜間に放出するため、バンコク中心部はすでに郊外より3℃以上高いことがデータで示されています。
経済的な打撃も深刻です。屋外で働く130万人以上の労働者の生産性が低下するほか、適切な対策を取らなければ、熱と湿度による経済損失は市内総生産の6%に達する可能性があるといいます。さらに、猛暑時に電気代が10〜50%増加したと答えた世帯が調査対象の約90%にのぼりました。エアコンに頼れない低所得層ほど深刻な影響を受けるという、格差の問題も浮き彫りになっています。
「暑さ」が季節の話ではなく「災害」として語られる時代が、すでに始まっています。

