「美しい古都」チェンマイが今、世界最悪の大気汚染都市に

タイ北部の観光地といえば、多くの日本人が「のんびりした古都」「自然が豊か」というイメージを抱くでしょう。ところが毎年2月から5月にかけて、チェンマイはまったく別の顔を見せます。

今年3月、チェンマイのAQI(大気質指数)が220を超え、一時は世界で最も汚染された都市にランクされました。4月上旬にはMae Rim地区の病院でPM2.5濃度が1立方メートルあたり409マイクログラムを記録し、「極めて危険」なレベルに達しました。WHO基準の約40倍という数字は、正直、にわかには信じがたい数値です。

原因はさまざまです。農地の野焼き、森林火災、温度逆転層による煙の滞留が重なり、加えて隣国ミャンマーやラオスからも煙が流入してきます。毎年繰り返されるこの「スモッグの季節」は、もはやチェンマイの風物詩と化しています。

健康被害は深刻で、ラーンナー病院の医師は、汚染が悪化するにつれてPM2.5関連の受診者が通常の約2倍に増えたと報告しています。蕁麻疹・喘息の悪化・鼻血・眼の炎症など症状も多岐にわたります。チェンマイ大学医学部も、長期曝露が呼吸器疾患だけでなく、心疾患や血管疾患のリスクも高めると警告しています。

日本でもPM2.5への関心は高まっていますが、「外出自体が危険」とされるレベルは経験したことがない方がほとんどのはず。現地では一般的なサージカルマスクでは不十分で、N95マスクの着用が必須とされ、自宅では窓を閉め切り空気清浄機で「安全ゾーン」を作るよう呼びかけられています。ガスマスクのような装備が生活必需品になっている状況に観光当局は頭を悩ませています。

観光立国タイが抱えるこの構造的な問題、次にチェンマイへ行く計画がある方はぜひ、渡航時期の確認を忘れずに。

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