MENU

タイ人に日本式お辞儀を仰々しく指導するのはまったく無意味に思えるのだが……

タイでは日系人材教育施設が開催する「日本式おもてなし教育セミナー」を受講するタイ人が徐々にではありますが増えています。ただ、この手のセミナーに傍観者として参加する度に背筋のかゆくなる気分を味わうことになります。

例えば、日本では会釈15度、敬礼30度、最敬礼90度などと言われていますが、これに加えて踵を支点とする足の角度、手の位置まで指導するとなると「ここは軍隊か?」と突っ込みたくなりますが、さらにいえば、タイにはワイ(合掌)という素晴らしい文化があるのに、なぜお辞儀の仕方を指導する必要があるのでしょうか。日本にはそのようなお辞儀の仕方があることを単なる知識として知っていれば十分だと思います。タイで事業をする以上、郷に入れば郷に従え。タイ人にお辞儀をされたところで、三文コントのワンシーンのようにさえ感じてしまいます

講座終了後、参加しているタイ人に本音を聞けば、「なんでここまで日本にあわせる必要があるの?」といったものが少なくありません。タイに進出する以上、タイを観光で訪れる以上、タイの文化を尊重するのは当然のことです。

そもそもタイ人はサービスの苦手な国民だと思います。例えば、モノを買う時、いろいろと質問した後、少し考えさせて、といってその場を離れた場合、間違いなく売り子は顔が険しくなり、舌打ちをし、同僚と客の悪口が始まることになります。

タイでの礼儀関連セミナーに必要なのは、自分がやられて嫌なことを皆で疑似体験し「いかに嫌か」を改めて実感させることです。お辞儀の角度、手の動かし方、表情の作り方、細かい服装の注意など「どうでもいいよ」と突っ込みたくもなります。もっとも、タイに長年いると、タイ人の気分次第のサービスの方が、日本の形式美的サービスより人間味を感じたりもしますが……

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次