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マラリア感染の大半はアフリカでタイは感染例が少ないですが、国境でのトレッキングの際は注意が必要です。

全世界では年間150万~200万人がマラリアで死亡しています。その9割はアフリカですが、タイでも近年、これまでの特効薬が効かない耐性マラリアが多数報告されていますので、国境地域でトレッキングをする場合には注意してください。

症状は

ハマダラ蚊に刺された時、刺し口から血液中にマラリア原虫が入り込むことで感染します。

マラリアには、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵型マラリアの4種類があります。このうち、タイなどアジア諸国で感染するのは熱帯熱マラリア、三日熱マラリアがほとんどです。四日熱マラリア、卵型マラリアの流行地はアフリカとなります。

症状はタイプにより異なります。熱帯熱マラリアは、38・5度を越える急な発熱が特徴です。悪寒を伴い、下痢をすることもあります。高熱は数日間続きますが、その後、体温が上がったり下がったりします。ここで、体温が下がったといって安心すると大変。急に意識が薄れたり、腎不全や脳障害を引き起こしたりして死亡することもあります。潜伏期間は7日から28日と幅がありますが、最も多いのが12日。ただ、数カ月潜伏した後に発症するケースもあります。

熱帯熱マラリアは重症化しやすく、治療しないと死亡する可能性が高いのですが、注意しなければならないのは日本に戻ってから発症するケースです。日本の医療機関でマラリアを疑うことはまずないため、診断が長引いた場合には、死亡することもあります。そのため、マラリアが疑われる場合には タイで治療を受けるのがベストです。ただ、やむをえず、日本で治療を受けることになる場合には、必ずマラリア危険地域に滞在経験のあることを医師に告げてください。

これに対して、三日熱マラリアの場合には、熱帯熱マラリアほどの重症となることは稀です。48時間をサイクルとして、悪寒を伴う発熱と解熱を繰り返します。

三日熱マラリアで死亡することはまずありませんが、適切な治療をしないと、原虫が肝臓の中に隠れて、再発を繰り返すことになります。

タイでは、山間部やミャンマー・カンボジア国境付近で感染することが多いため、チェンマイやメーホンソンでトレッキングを行う場合は注意が必要です。ただ、都市部での感染例はほとんどありません。そのため、1カ月以内に山間部や国境を訪れていないのに、急な発熱があった場合には、デング熱を疑ってください。

予防法は

予防ワクチンはないため、最も有効な予防法は蚊に刺されないようにすることです。

このほか、予防内服といって、抗マラリア薬を少量飲み続けることで、発症を防ぐ方法もあります。ただ、長期間の服用により副作用の出るケースもあるため、厚生労働省検疫所では、この予防服用を、「流行地域に1週間以上滞在し、しかも発症してから24時間以内に治療薬が入手できない可能性がある場合」に行うことを推奨しています。特に、初回感染は重症化することが多いので、発症した場合、24時間以内に治療を受けることが大切です。

現在、日本国内でマラリア予防薬として認可されているのは「メフロキン」(商品名はメファキン、ラリアム)です。ただ、医師による処方が必要な上、健康保険適用外です。服用方法ですが、流行地に入る1週間前から、流行地を離れた4週間後まで、週に1回1錠を服用します。

このほかの予防薬としては「クロロキン」「ドキシサイクリン」があります。服用方法はメフロキンと同じです。タイではメフロキンに耐性を持つマラリアが報告されていますが、クロロキンも予防薬の中では一番安いことから、やはり耐性を持つマラリア原虫が増えています。なお、 ドキシサイクリンは妊婦や8歳未満の小児には使用できません。いずれにせよ、家族でトレッキングを楽しもうという場合には、病院で予防薬を処方してもらった方がいいでしょう。

私はクロロキンを使用したことがありますが、服用後、軽い頭痛の副作用があったため、ドキシサイクリンに切り替えました。ただ、ドキシサイクリンを服用する際には大量の水で飲むようにしてください。また、日光浴は極力避けた方が無難です。私はよく言われるよう、光線過敏症の症状がでました。

診断は血液検査でマラリア原虫を確認した後、抗マラリア剤を処方することになります。

ここに注意!

マラリア原虫を媒介するハマダラ蚊は夜間活動します。一方、マラリアと同じく、蚊に刺されて感染する熱病にデング熱がありますが、こちらの蚊は昼間吸血します。また、マラリアは山間部、デング熱は都市部での感染が大半となっています。

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