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タイでの労使関係を面倒なものにしている原因はタイ人幹部(?) 労組からは「日本人と話したい」

特に日頃から労使の対話があまりなく、相互の信頼形成が不十分な企業の場合、日々の不満がボーナス交渉で爆発するケースが少なくないようです。タイ労働組合組織の幹部は「日頃の話し合いがなければ、すべてボーナス交渉に持っていけと考えてしまう」と話していました。

タイで法人登記をしている企業の労働組合組織率は約2%。日本の約17%と比較した場合、かなり低い数字ですが、在タイの日系企業に限定すると組織率は6割強といわれています。在タイ日系企業にとり労組と良好な関係を築くことは業績を伸ばすうえでも避けることのできないテーマとなっています。

ただ、タイの労働組合組織の幹部によれば、日本人の知らないところで、労使関係が悪化していることも多いそうです。大手日系自動車メーカーの労組幹部によると、「労使関係が悪化する大きな理由のひとつがタイ人人事部長の無能さ」とか。さらに、「人事を担当しているタイ人幹部が労使関係を悪化させている。従業員の要望を日本人幹部に伝えようとしない」「人事が優秀であれば問題は軽減する。経営トップと労働者の間の調整役の機能をはたしておらず、コニュニケーションが不足しているため、会社が儲かっていると思いこんでしまう」と不満は尽きないようです。このコニュニケーション不足がボーナス交渉をより難しいものにしているといいます。

話は多少逸れますが、日本人の知らないところでのタイ人上司と部下とのトラブルが起きていることも少なくないようです。バンコク都内スクムビット通りの路上バーで働いていた若い女性従業員。水商売に入る前はアユタヤ県の日系自動車部品メーカーで仕事をしていました。工場勤務には似つかわしくないカワイイ感じです。「日本人はいい人だった」といいますが、問題はレズビアンのタイ人人事部長。気に入った女性には優しく接しますが、それ以外には人当たりが強く、そのため離職率は高止まり。しかし、そのことを日本人に伝える人は誰もいません。この子は口説かれたのを拒否したため、いじめにあったそうです。「日本人はいい人だった。もっと働きたかった」といいます。実にもったいない話です。

「労使交渉の場に弁護士を入れないでくれ」

それでは、労使間トラブルが日本人の知るところとなった場合ですが、労組側が口を揃えるのが「労使交渉の場で法律を盾にするばかりでは、最終的にはどちらも満足できない結果となってしまう」ということ。労働組合組織幹部は、「97年以降、弁護士を使って問題を解決しようとする企業が増えた」と話します。そして、その弁護士がウザい従業員の解雇を勧めるケースも少なくないとか。その結果、訴訟になれば、さらに仕事が増えて万々歳ということのようです。

日系自動車メーカーの労組幹部は、「要求のきついとすぐに交渉を止める。パートナーシップを感じない。対話をしたい。組合は変わろうとしている。法律優先で問題を解決しないでほしい」と訴えます。

ただ、成熟していない労組が、深い考えなく無理難題を押し付けることが少なくないことも事実です。それでも、労働組合を毛嫌いすることなく、積極的な対話で信頼関係を築く努力を忍耐をもって続けるなど、時間がかかっても、地道な対応を続ける以外に妙案はないようです。

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