タイの外国人事業法(Foreign Business Act B.E. 2542)の第36条・第37条ではタイ人による「名義貸し(ノミニー/Nominee)」を禁止しています。もう少しく説明しますと、外国人が外国人事業法で規制している「規制対象事業」を行うため、タイ人に名義を借りて「タイ法人の振りをして」事業を行う行為を禁止するというものです。違反した場合は、名義を借りた外国人だけでなく、名義を貸したタイ人、この不正行為を支援したタイ人(会計担当者など)も処罰対象になります。
罰則は3年以下の禁固(懲役)、または10万バーツ以上100万バーツ以下の罰金、またはその双方が科されます。裁判所は取引・事業形態の停止を命じることもあり、また、命令違反が続く場合は、日額1万〜5万バーツの追加罰金が科されます。
目次
厳しさを増す名義貸しの摘発
名義貸し(Nominee)の典型的な手口
- 実際は外国人が出資・経営するが、タイ人の名義で株式の51%以上を保有させる。
- タイ人名義の株主は実際には経営に関与せず、報酬のみを得る。
- 事業実態や口座の実権も外国人側にある。
法規制の変更(2026年4月1日施行)
タイ商務省事業開発局(DBD)は、2026年4月1日より、法人登記および増資の段階で名義貸しを遮断する新ルールを導入しました。
- 出資証明の厳格化: タイ人株主が自身の資金で実際に払い込んだことを証明する書類の提出が必須となり、取締役にはその真実性を宣誓する義務が課されています。少額株主も例外ではありません。
- 警察(CIB)との連携: 疑わしい点がある場合、即座に警察中央捜査局(CIB)へ送致され、資金源の捜査が行われる体制が整備されました。
集中調査の実施状況
2026年5月1日現在、タイ政府は20,000社以上の企業を対象とした集中調査を継続中です。
- 対象業種: 不動産、観光、物流、飲食業など、外国人の参入が制限されている業種が主なターゲットです。
- 後方遡及: 4月の施行前に登録された既存企業であっても、不正が疑われる場合は捜査および訴追の対象となります。
罰則の適用状況
現在の法律下で「名義貸し」が認定された場合の罰則は以下の通りです。
- 刑事罰: 関与した外国人およびタイ人協力者の双方に対し、最大3年の禁錮刑、または10万〜100万バーツの罰金。
- 継続罰金: 違反状態が解消されるまで、1日あたり1万〜5万バーツの追加罰金。
- 強制解散: 法人の登記抹消および事業停止命令。
