タイでトラブルを回避する  「転ばぬ先の杖」

日本の外務省は2025年5月14日、「海外安全ホームページ」「安全対策基礎データ」を更新しました。ここで2024年の犯罪統計などからタイで凶悪事件の発生率が高まっており、また、タイ国内、特にバンコクで日本人の犯罪被害が続いているとして、以下の通り注意を喚起しています。

【海外安全ホームページ】
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_007.html

目次

タイでの犯罪発生状況および防犯対策

犯罪発生状況

タイ警察がまとめた2024年の犯罪統計によれば、殺人事件(未遂含む)は4692件、強制性交等事件は1895件、盗難事件等は3万5382件発生しています。また、銃器・爆発物関連事案では2万4457人、薬物犯罪事案では25万4629人が検挙されており、薬物や銃器の氾濫が殺人事件(未遂を含む)などの凶悪事件多発の要因とも言われています。タイにおける凶悪事件の発生率は、日本と比べ非常に高い水準で推移しています。

基本的な注意事項

タイは「微笑みの国」、バンコクは「天使の都」といわれ、諸外国と比較して安全なイメージがありますが、外国にいるとの意識が希薄で、日本と同じ感覚のままでいると、何らかのトラブルに巻き込まれた際に適切に対応することができず、事態を悪化させてしまう可能性があります。法制度、文化的背景、風俗習慣等が日本とは異なることを常に意識しておくことが重要です。

トラブルに遭遇する機会を避けることが、最も基本的な安全対策ですが、万が一トラブルに巻き込まれた際には家族や会社の関係者にすぐに連絡が取れるよう、ご自身の旅行や出張の予定を共有し、お互いの連絡手段・方法を確認・把握するよう心掛けてください。

日本人の被害例

タイ国内、特にバンコクでは、日本人の犯罪被害が後を絶ちません日本人が巻き込まれる被害の多数は窃盗、詐欺等であり、2024年には、一般的なスリ被害のほか、外国人男性(または男女)から「お金を見せてほしい」などと声を掛けられ、やりとりをしている間に現金、クレジットカードを抜き取られる窃盗被害が報告されています。

また、タクシーや三輪タクシー(トゥクトゥク)等の運転手を含め、見知らぬ者から声を掛けられ、安易に話に乗ることによる詐欺等の被害が多発しています。見知らぬ者から声を掛けられた際には十分警戒し、軽々しく話に乗らないことが肝要です。

この他、「交際していたタイ人に宝石をプレゼントしたが、その後、連絡が取れない」「結婚を前提に交際していたタイ人に家や土地、車購入の資金を渡したが、逃げられた」等の男女間のトラブル事例も発生しています。

繁華街での犯罪被害

バンコクでは、特に旅行者が集まる観光スポットや繁華街、デパート等大型商業施設周辺、若い単独旅行者が利用するゲストハウス(安宿)周辺において、犯罪が多発しています。また、チェンマイ市内でも、旧市街を中心に旅行者を狙った犯罪が発生しています。カラオケ店でのぼったくり被害も発生しており、特に夜の繁華街では十分な注意が必要です。なお、不用意に狭い路地へ入り込むことは危険です。

防犯対策(犯罪防止のための3ない行動)

「近づかない」

犯罪が発生する可能性のある場所に「近づかない」ことが重要です。バンコクなど、タイにおいては、歓楽街、繁華街、スラム街が混在しますが、これらの場所に近づかなければ、犯罪被害に遭う確率は格段に下がります。特に夜間は十分な注意が必要です。

「慌てない」

不幸にも犯罪被害に遭った場合には「慌てない」よう心掛けてください。例えば、タクシー強盗などに金銭を強要された場合、慌てず冷静に対処し、生命・身体の安全を第一に考え、抵抗しないようにしてください。

「楽観視しない」

一般的に他の外国と比較して、「タイは安全、治安が良い」と言われていますが、2019年には、バンコクで連続爆発・放火事件が発生しています。タイの治安情勢を楽観視しないようにしてください。

特殊詐欺・闇バイトおよび国境地域における治安

「海外で短期間に高収入」、「簡単な翻訳作業」といった、いわゆる闇バイトの謳い文句に誘われ、海外において特殊詐欺事件のいわゆる「かけ子」や「受け子」として犯罪に加担させられた結果、組織内のトラブルにより暴行を受けるなどの被害や、加害者として現地警察に拘束される事案が多く発生しています。

このような求人に安易に応募することがないよう、また、意図せず犯罪の加害者になることがないよう、十分慎重に行動してください。

近年では、そのようなバイトに応募した日本人を含む外国人が、タイに渡航した後、タイと国境を接するミャンマー側のシャン州タチレク市やカレン州ミャワディ市等に連れて行かれ、違法に労働を強要されるという被害に遭う事案が発生しています。

2021年2月に発生したクーデター以降、ミャンマー側のこれら国境周辺地域は、少数民族武装組織が実質的に支配していたり、治安の悪化等によりミャンマー現「政権」の統治が及ばない地域となっています。また周辺では戦闘が激化しているため、犯罪行為の他にも危険に巻き込まれる可能性があります。そのため、これらの地域で犯罪に遭われた場合、治安当局による救出や解決は容易ではなく、日本国大使館による迅速かつ十分な支援ができない可能性があります。

つきましては、SNS等を通じて高額報酬を謳う求人情報を得た場合は、上記状況を理解いただき、騙されることのないよう十分注意してください。 

「タイで旅券を紛失(盗難被害)した場合の手続き」
https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular_lost.html
【海外安全 虎の巻2024~海外旅行のトラブル回避マニュアル】
https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pdf/toranomaki.pdf
【ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル】
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_009327.html
【安全の手引き】
https://www.th.emb-japan.go.jp/files/000207735.pdf
【特殊詐欺事件に関する注意喚起(加害者にならないために)】
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2023C035.html

滞在時の留意事項

違法薬物

(1)タイでは、大麻に関する規制緩和が進められており、大麻を含む飲食物や化粧品等が広く流通しているほか、2022 年6月には、大麻が規制薬物のリストから除外され、 家庭栽培が解禁されるなどしております。

しかし、タイにおいて、解禁されたのは旧来より承認されている医療等を目的とする使用のほか、含有成分に厳しい制限を設けて製品化された食品や化粧品等に限られます。引き続き娯楽目的での使用は認められておらず、公共の場で大麻を吸引することなども禁止されています。

日本では大麻 取締法に基づき大麻の所持等が禁止されており、日本に大麻を持ち込もうとした場合には同法による処罰の対象となります。また、国外において大麻をみだりに、栽培したり、所持したり、譲り受けたり、譲り渡したりした場合などに罰する規定があり、罪に問われる場合があります。
 
(2)タイ政府は、規制薬物リスト内の麻薬を始めとする違法薬物犯罪を厳しく取締まっており、違法薬物の所持はもとより、持込み、持出しは厳禁であり、これに違反した場合には厳罰が科されます。最高刑は死刑です。

ゲストハウス(安宿)やナイトクラブ等においても、警察が随時取締り・摘発(いわゆる、おとり捜査)を行っています。違法薬物を所持または使用したために逮捕され、タイ国内の刑務所で長期間に亘り服役中の日本人もいます

(3)見知らぬ人から預かった荷物やアルバイトで請け負った荷物から、大量の違法薬物が見つかり、海外で拘束される事案が多く発生しています。そのようなことにならないよう注意が必要です。

海外では他人の荷物を安易に預からないでください

海外では他人(知人を含む)の荷物を気軽に預かることは避けてください。その荷物に覚醒剤・麻薬・禁制品が入っていた場合、警察の取り調べがあった時に手にしていた人の責任となります。「これは私の荷物ではない」との言い訳は多くの場合、通用しません。

マリンスポーツの注意事項

(1)プーケット等のビーチリゾートでは、モンスーン期(雨季:6月~10月)に海が荒れるため遊泳禁止になることがあります。遊泳禁止区域で泳いだ結果、溺死する事故が発生しています。波が一見穏やかそうに見えても、水中では巻くような流れがある場合があり、足下をすくわれて溺れてしまうおそれがありますので、遊泳禁止の際(ビーチに赤い旗が立っている)には決して海に入ることなく、ビーチの係員等の指示に従ってください。また、飲酒後の遊泳はしないでください。

ビーチリゾートにおいて、ジェットスキー、水上スキー、パラセイル等のマリンスポーツを行う際は、タイの法律やレンタル店のルールに従ってください。なお、ジェットスキーを運転する際は安全運転を心掛けてください。信頼のおけるマリンスポーツの取扱業者を選ぶとともに、事故が発生した場合のリスクと、事故発生時の対応が自己責任となることを事前に理解しておくことが必要です。

(2)ジェットスキーをレンタルする際の料金トラブルも発生しています。業者から料金等の説明を受け、契約書の内容を理解し納得した上でレンタル契約をするようにしてください。

レンタルを終えて返却するときに「船体を傷付けた」「破損させた」等の理由で、高額な修理代金を請求される事例も報告されています。事前にレンタル業者立ち会いの下、船体の損傷の有無を確認する、損傷がある場合には写真撮影を行う、トラブル発生時の処理方法が記載された契約書面の交付を受ける等、返却時のトラブル回避に努めてください

家族問題(ハーグ条約)

タイは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合、原則的に子の常居所地国に返還されることとなります。

なお、子の連れ去り等の発生を予防する観点から、未成年者の日本国旅券発給申請に際しては親権者の同意確認を行うこととしています。

(未成年者の旅券発行申請における注意点)
https://www.mofa.go.jp/announce/info/passport.html

在留届

タイに3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後住所または居所が決まり次第遅滞なく、タイ国内の居住地に応じ、在タイ日本国大使館または在チェンマイ日本国総領事館に在留届を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください

 在留届の提出は、オンラインによる在留届電子届出システム( https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をおすすめしますが、郵送によっても行うことができますので、タイ国内の居住地に応じ、在タイ日本国大使館または在チェンマイ日本国総領事館まで送付してください。

たびレジ

在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。

「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、タイで事件や事故、自然災害等が発生し、在タイ日本国大使館や在チェンマイ日本国総領事館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚のメールアドレスも追加登録出来ますので、併せてご活用ください。

緊急時連絡先

バンコク

◎警察        :電話番号 191(救急車の要請も可能)
◎観光警察      :電話番号 1155(英語可)
◎タイ政府観光庁   :電話番号  (市外局番02) 250-5500
◎消防署       :電話番号 199
◎在タイ日本国大使館 :電話番号 (市外局番02) 696-3000(代表)または
(市外局番02) 207-8500

チェンマイ

◎警察            :電話番号 191(救急車の要請も可能)
◎観光警察          :電話番号 1155(英語可、日本人ボランティアあり)
◎消防署           :電話番号 199
◎在チェンマイ日本国総領事館 :電話番号  (市外局番052) 012-500
注:在チェンマイ日本国総領事館の管轄する県は以下の9県です。
チェンマイ、チェンライ、ランプーン、メーホンソーン、ランパーン、ナーン、パヤオ、プレー、ウタラディット

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