タイで買い物をすると、商品の値段には最初から7%の付加価値税(VAT/日本の消費税(売上税)に一部類似した税金で、タイでは「バット」とも呼ばれます)が含まれています。ただ、タイに住んでいない外国人が、自分で買った商品を国外に持ち出す場合、条件を満たせばこの税金の一部を後で返してもらうことができます。これが「旅行者向けVAT還付制度」です。
出張や旅行でタイを訪れる日本人にとって、この制度をうまく使うで旅費を節約することができます。特に仕事用の機材や高級ブランド品、たくさんのお土産を買う場合は、戻ってくる金額も大きくなります。ただ、手続きのルールを正しく知らないと、空港で払い戻しを断られてしまうこともあります。そこで、買い物から空港で受け取るまでの流れを、順を追ってわかりやすく説明します。
誰が、どんな商品が対象になるのか
まず、この制度はタイを訪れる人なら誰でも使えるわけではありません。対象になるのは、タイ国籍を持っていない人で、タイに入国してから出国するまでの滞在期間が180日以内である旅行者です。観光やビジネス目的で短期間タイに滞在している日本人であれば、基本的に問題なく利用できます。一方で、タイに長く住んでいる人や、労働許可証を持って働いている人は対象外です。また、国際線で働くパイロットや客室乗務員も、仕事中かどうかにかかわらず利用できません。
払い戻しを受けるには、商品の種類と金額双方の条件を満たす必要があります。還付対象になるのは、衣類、電化製品、化粧品、お菓子など、形のある商品でタイ国内で使用せずに国外へ持ち出すものです。そのため、食事代やホテル代、マッサージ料金といったサービスに対する支払いは対象外です。また、持ち出しが法律で禁止されている危険物や、加工されていない宝石も対象になりません。
金額については、同じ日に同じ店で合計2000バーツ(税込み)以上の買い物をする必要があります。さらに、免税を申請する商品の合計金額が5000バーツ(税込み)以上であることも条件です。また、商品は購入した日から60日以内に、タイ国内の国際空港から持ち出さなければなりません。
財務省物品税局サイト (VAT還付情報/英語)
商品を購入した店舗でしてもらう手続き
買い物をするときは、「VAT REFUND FOR TOURISTS」と書かれた青いステッカーや看板が店頭に出ている店を選んでください。バンコクの大型ショッピングモールやデパート、有名ブランドの直営店の多くはこの制度に対応しています。

そして会計時、店員さんに「VAT返金を希望します(I would like a VAT refund, please.)」と伝え、パスポートの原本を見せてください。コピーやスマートフォンで撮った画像では受け付けてもらえません。店員さんがパスポートの情報を確認したうえで、「ピーピー10(P.P.10)」と呼ばれる黄色い申請用紙と、領収書の原本を発行してくれます。
最近は、この黄色い紙の申請書のかわりに、電子申請(e-P.P.10)を導入するお店も増えています。公式のVAT還付アプリ「Thailand VRT」を使うと、購入した情報が自動的にタイ歳入局(税務署)へ送られるため、紙の書類を持ち歩く手間や失くしてしまう心配が減ります。紙の書類を受け取った場合は、名前・パスポート番号・日付・金額に間違いがないか、その場で必ず確認してください。もし間違いがあると、空港で不備とみなされ、払い戻しを受けられなくなってしまいます。
空港でしなければいけないこと


購入総額が2万バーツ以下の場合
2024年1月に改定された新しいルールにより、購入した商品の合計金額が2万バーツ以下であれば、チェックインの前に税関カウンターへ立ち寄る必要がなくなりました。以前はすべての旅行者が事前に税関のスタンプをもらう必要があり、長い行列ができていましたが、このルール改定によって多くの旅行者の負担が軽くなっています。
購入総額が2万バーツを超える場合
購入総額が2万バーツを超える場合は、チェックインの前に必ず税関の検査を受けなければなりません。スワンナプーム国際空港やドンムアン空港の出発ロビーには、払い戻し確認用のカウンターが設置されているので、そこへ向かってください。パスポートの原本、申請用紙、領収書、そして買った商品の実物を提示します。商品は使わずに、包装したままの状態にしておくのが原則です。係の人がスタンプを押してくれれば確認は完了で、そのあとはスーツケースに入れて預けてもかまいません。

高級品を買った場合の注意点
ジュエリー、金製品、高級時計、メガネ、万年筆、ベルト、スマートフォン、ノートパソコン、ハンドバッグの9品目は「高級品」に指定されています。さらに、1点の価格が4万バーツ以上のもの、または手荷物として持ち込む高級品の合計金額が10万バーツ以上になる場合は、出国審査を終えたあとの還付窓口でも、もう一度実物を見せる必要があります。これらの商品は絶対に機内預けのスーツケースに入れて預けてはいけません。必ず手荷物として、自分で機内に持ち込んでください。

最終的な受け取り手続き
出国審査を通過して国際線の搭乗エリアに入ると、免税店が並ぶ通路沿いにVAT払い戻しの窓口があります。ここでパスポートの原本、搭乗券、申請用紙、領収書を提出すると、係の人が最終確認をしたうえで、還付される金額を計算してくれます。
実際に手元に戻ってくる金額は、7%の税金からいくらか手数料が差し引かれるため、購入金額のおよそ5〜6%程度になります。還付額が3万バーツ以下であれば、タイバーツの現金、クレジットカード口座への振り込み、銀行小切手のいずれかから受け取り方法を選べます。ただし3万バーツを超える場合は、現金では受け取れず、クレジットカード口座への振り込みか、銀行小切手のどちらかになります。なお、現金で受け取る場合は、1件につき約100バーツの手数料がかかります。
スムーズに手続きを終えるために
手続きを確実に終わらせるには、空港には出発の3時間以上前に到着することをおすすめします。特に観光客が多くなる乾季(11月〜2月ごろ)や、夜間の出発便が集中する時間帯は、確認カウンターや還付窓口が非常に混み合います。
また、お店で発行してもらった書類は、パスポートと一緒に一つのケースにまとめて管理して紛失しないようにしてください。電子申請(e-P.P.10)を積極的に活用すると紛失の心配を減らせます。

