【タイ出張】タクシーのトラブルを極力回避する方法は?(26年7月更新)

タイの首都バンコクをはじめとする主要都市では、ビジネスでも観光でも、移動するときにタクシーは欠かせない交通手段です。最近は「配車アプリ」が広く使われるようになり、移動手段の選択肢が増えました。しかし、一般のタクシーでは、今でも困ったことがよく起きています。メーターを使わずに高い料金を請求されたり、わざと遠回りをされて料金を吊り上げられたりする、いわゆる「ぼったくり」がまだまだなくならないのです。ここでは、タイに初めて訪れるビジネスパーソンが現地で安全にスムーズに移動できるように、タクシーに乗る前にできる備えから、実際にトラブルが起きてしまったときの対処法まで、具体的に説明していきます。

目次

一般タクシーで起きやすいトラブル TOP3

メーターを使わない

タイの一般タクシーには大きく分けて二種類あります。ひとつは緑色と黄色の二色に塗られた個人経営のタクシー、もうひとつは青やピンクなど鮮やかな色をした会社経営のタクシーです。タイの法律では、メーターを使って料金を計算することが義務づけられています。ところが、外国人の旅行者や出張者が相手だと分かると、メーターを使わずに最初から高い固定料金を提示してくる運転手が少なからずいます。

参考までに、現在のメーター料金をご紹介します。乗客4人まで乗れるセダンタイプの場合、最初の1kmまでは35バーツで、それ以降は1kmごとに数バーツ(6.5バーツ~)が加算されていきます。また、渋滞などで時速6km以下のノロノロ運転や停止状態が続くときは、1分ごとに3バーツが加算される仕組みになっています。

それでも、渋滞が激しいバンコクでは、「メーター通りに走るよりも、事情を知らない外国人から高い料金を取ったほうが稼げる」と考える運転手がかなりの数存在します。特に雨の日、朝や夕方の混雑する時間帯、夜の繁華街周辺では、メーターの使用を断られる可能性がぐっと高くなるので注意が必要です。

わざと遠回りする

メーターを使う場合でも、油断はできません。代表的なトラブルのひとつが「わざと遠回りをして料金を吊り上げる」という手口です。乗客が土地勘のない外国人であるのをいいことに、本来なら高速道路を使う必要のない短い距離なのに勝手に高速道路に入って走行距離を増やしたり、同じルートをぐるぐると回ったりすることがあります。

お釣りを返さない

お釣りの返却を拒否されるのもよくあるパターンです。目的地に着いて1000バーツ札や500バーツ札といった高額の紙幣で支払おうとすると、運転手が「お釣りがない」と言い張り、そのままお釣り分を丸ごとチップとして受け取ろうとします。ちなみに、120バーツの料金を100バーツ札2枚で払おうとして、「お釣りがない」と言われることも日常茶飯事です。この場合、「それでは両替してくるので少し待っていてくれ」と告げるのは悪手。お釣りをよこさない運転手の多くは犯罪者予備軍ですので、厄介な事態に陥る可能性があります。そのため、乗車前に100バーツ札、50バーツ札、20バーツ札を用意しておき、精算時に100バーツ未満のお釣りがないといわれたら「諦める」というのが最善策です。

苦情の実態を示すデータ

少し古いデータですが、タイの陸運局(DLT)が公表した2023年10月から2024年2月までの5か月間の苦情件数のうち、タクシー利用に関するものはなんと1万687件にのぼりました。苦情の内容としては、運転手の言葉づかいや態度に関するものが最も多く、次いで無謀運転、メーターを使わないこと、目的地に行ってくれないこと、料金を過大に請求すること、不必要に遠回りをすることなどが上位に入っています。

乗車を拒否した運転手には、陸運局の規定により1000バーツ以下の罰金と、最低3時間の研修プログラムへの参加が科されます。違反を繰り返すと、1か月から6か月の運転免許停止処分を受けることもあります。ただし、これがルール通りに実行されていると信じるタイ人は極めて少数派です。

乗車前と乗車後にとりうる対策

乗車前にメーター使用の有無を確認する

一般のタクシーに乗る際は、乗る前に窓越しに行き先を告げて、「メーター、オーケイ?」と一声かけてみてください。もし運転手が首を横に振ったり、具体的な金額を提示して交渉を持ちかけてきたりした場合は、そのタクシーはあきらめて次を探すのが鉄則です。タイの主要都市ではタクシーの台数が非常に多いので、1台にこだわる必要はまったくありません。

乗車後も油断しない

無事にメーターで走り出せたとしても、まだ安心はできません。運転手が遠回りをしてメーター料金を稼ごうとすることがあるほか、最悪の場合、人気のない場所に連れていかれて金品を奪われる危険性もあります。ただし、タイに来たばかりの人には、遠回りされているかどうかを見分けることはほぼ不可能なので、遠回りそのものを完全に防ぐのは難しいと諦めるしかありません。

対策のひとつとして、スマートフォンの地図アプリで乗車後すぐに目的地を設定し、GPS機能により現在地とおすすめのルートをリアルタイムで確認するという方法があります。ただし、ルートが大きく外れていない限りは、下手に騒いで運転手を刺激しないほうがいいでしょう。

犯罪への備え タイ人がやっている工夫

一般タクシーで特に警戒すべきは、遠回りではなく、運転手が犯罪に及ぶケースです。タイ人、特に若い女性は、乗車後すぐに家族や友人に電話をかけて、「今、〇〇(場所)から乗車した。あと〇分で〇〇(目的地)に着く」と伝えることがあります。これは、運転手が何かをたくらんでいた場合にかなりの抑止力になります。犯罪者は証拠が残ることを嫌うからです。ただし、タイ語で伝えなければ意味がないため、この方法は大半の外国人には使えません。

そこで外国人にできる現実的な対策としては、スマートフォンの地図アプリを見て、運転手が明らかに違う方向へ向かっていると感じたら、スマホの画面を運転手に見せながら行き先が合っているか確認することです。タイ語で「行き先は合っていますか」は「プラーイ・ターン・トゥーク・トン・マイ(ปลายทางถูกต้องไหม)」といいます。これは、運転手が単純に行き先を勘違いしているケースもあるためです。筆者自身も何度かこうした経験をしています。行き先を間違えているわけではなく、単に遠回りをしているだけの場合は、前の項目で説明しましたが、諦めるほかありません

運転手の態度が悪化したら最大限の降車努力を

スマホの地図アプリを示したことで、運転手の態度が明らかに悪くなった場合は、とにかく安全に降りることを最優先してください。大通りにあるコンビニエンスストアの前など、人通りが多く明るい場所を選んで「トイレに行きたいのでここで降ります」と伝え、車を止めてもらいましょう。タイ語では、「ヤーク・カオ・ホン・ナーム ロング・トロン・ニー(อยากเข้าห้องน้ำ ลงตรงนี้)」といいます。これはタイ人女性が途中下車する場合の常套句です。ただし、そうした適切な場所が見つからない場合は、運を天に任せてそのまま乗っていくしかないでしょう。うまく降りられそうなときは、それまでの料金にいくらか上乗せして渡すと、無事に脱出できる可能性が高まります。運転手の中には薬物中毒の人も少なくないため、刺激しないことが大切です。

支払い時の注意点

目的地に無事に到着しても、料金の支払い時にトラブルが起きることがあります。タイのタクシー運転手は、手元に十分な小銭や少額紙幣を用意していないことが多いため、乗車前に100バーツ札、50バーツ札、20バーツ札を準備しておくことが大切です。500バーツ札や1000バーツ札のような高額紙幣で支払おうとすると、トラブルのもとになります。

なお、空港からタクシーに乗る場合は、運賃とは別に50バーツの空港乗り入れ手数料がかかります。さらに、高速道路を利用した場合の通行料は、その都度、乗客が実費を運転手に現金で渡して支払うか、降車時にまとめて運賃に上乗せして支払う形になります。また、2020年からは、26インチ以上の大型スーツケースを1個積み込むごとに20バーツ程度の追加料金を求めることが認められることになったので、覚えておいてください。

トラブルが圧倒的に少ない配車アプリ

こうした一般タクシーにまつわるトラブルの多くは、Grab(グラブ)などの配車アプリを利用することで大幅に減らすことができます。配車アプリでは、乗る前に目的地までの料金があらかじめ確定しており、クレジットカードでの支払いも可能なため、メーターを使わない、遠回りをする、降車時にお釣りをめぐってもめる、といったトラブルがほとんど起こりません(完全にゼロというわけではありませんが)。

さらに、アプリを通じて運転手の氏名や車両情報が表示されるうえ、走行ルートも運営会社にリアルタイムで共有されているため、不当なルート変更や犯罪への抑止力が非常に高くなっています。ビジネスで利用する場合は、領収書が電子データとして確実に発行されるので、経費精算の手続きがスムーズに進むという大きなメリットもあります。

雨の日などにGrabの配車がつかまりにくいときは、Bolt(ボルト)という別の配車アプリを併用するのもひとつの方法です。ただし、安全性についてはGrabのほうが高いというのが、タイ人の間での共通認識になっています。

ただ、配車アプリを使う場合でも、完全に安心しきってはいけません。車両が到着したら、アプリに表示されているナンバープレートと実際の車のナンバーが完全に一致しているかを、必ず自分の目で確認してください。まれに、登録内容と異なる車両で迎えに来る運転手もいますが、安全のためにも、登録と違う車には絶対に乗らないようにしましょう。また、一般タクシーに比べて、混雑している時間帯には料金が高くなりやすいという特徴も頭に入れておいてください。

トラブルが起きてしまったときの最善策は「諦める」

万が一トラブルが発生し、車内での話し合いで解決しない場合でも、決して感情的になって相手を刺激してはいけません。タイでは、言葉の壁やプライドのぶつかり合いから、運転手と乗客の口論が大きな事件に発展してしまった例も報告されています。まずは冷静さを保ち、安全に車を降りることを最優先してください。

参考までに、運転手とのトラブルが起きたときの対処法についてAI(人工知能)に尋ねたところ、次のような回答がありました。

「事後に通報する場合に備えて、乗車中からいくつかの情報を控えておくことが重要です。タイのタクシーには、助手席のダッシュボード前方や後部座席のドア付近に、運転手の顔写真・氏名・車両番号が記載された黄色いプレートが掲示されています。これらをスマートフォンで写真に撮っておくか、車を降りたあとに車のナンバープレートを記録しておきましょう。これらの情報をもとに、タイ政府の相談窓口へ通報することができます。運輸省陸運局(DLT)のコールセンター(電話番号1584)や、外国人向けの対応を専門に行うツーリストポリス(観光客専用の警察窓口、電話番号1155)は、英語での通報を受け付けています。ツーリストポリスは1155番の緊急通報用電話番号で24時間対応しており、専用アプリ『Tourist Police i lert u』からも写真や文章で被害状況を送ることができるため、電話をかけるのが難しい状況でも利用しやすくなっています。トラブルの詳細と車両番号を伝えることで、不当な行為をした運転手に対して行政処分などの適切な措置を取らせることが可能です」

しかし、筆者自身の経験からいうと、この対処法は危険をともないます。運転手の顔写真・氏名・車両番号やナンバープレートを撮影しているところを見られると、運転手から暴行を受けたり、スマートフォンを壊されたり持ち去られたりする可能性が出てきます。また、金品を盗まれたり、暴行を受けた場合は別ですが、実質的被害がないケースでは警察に訴えたところで得られるものは少なく、時間を失うだけになりがちです。そのため、最も現実的な対処法は、「運が悪かった」ときっぱり諦めることです。

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