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タイでもテレビドラマはそこそこの影響力があります。ただ、「良い影響 < 悪い影響」というのが現実です。

タイ国立シラパコン芸術大学によりますと、今年の考古学部志願者数が昨年を大きく上回ったそうです。交通事故に遭った女性考古学者が大昔にタイムスリップするというテレビドラマ「Love Destiny」がヒットしたことで考古学者に関心を持つ若者が増えたようです。

ただ、タイのテレビドラマで誰かに視聴を勧めたくなる作品と出会うことはほとんどありません。以前、タイの王妃陛下が、タイのドラマの質に苦言を呈され、日本を見習うようお話になりました。この時に比較されたのが、ともにパイロットが主役となっているドラマで、日本側はキムタク主演の「GOOD LUCK!!」、タイ側は女性客室乗務員とパイロットの恋愛模様を描いたメロドラマ「War of Angels」を挙げられました。別に日本のドラマを称賛する気は毛頭ないですが、確かにタイのドラマと比較すると、まだマシであると思います。ちなみに、War of Angelsはタイ航空から「内容がひどすぎる」として正式に抗議を受けています。

また、タイ人大学生による日本語弁論大会では、男子学生がタイのドラマのことを「ろくに仕事をせず、女性のことだけ考えている金持ちが毎回主役をしている」と揶揄していました。もちろん、すべてとはいいませんが、多いことは確かです。

もっともこれだけでしたら、苦笑で済ませることもできますが、そうもいかないのが暴力シーンの描写です。一時期問題となったのは、逆恨みされた女性が顔に塩酸・硫酸をかけられるシーン。実際にこれを真似た犯罪が複数起きていたにもかかわらず、相も変わらずこのシーンを使うアホな監督がいました。さすがに今はなくなっているようですが、それでは陰惨ないじめシーンはタイドラマのお約束であり、若い層からは、「もう飽き飽き」との声も聞かれます。

タイのロケ隊を地元に誘致し、ロケツーリズムを育てていこうとする日本の自治体が増えています。ただ、それもドラマがヒットしなければどうにもなりせん。さらに言えば、日本に旅行する可能性のある層にウケる内容でなければ意味がありません。

ロケツーリズムが非常に効果的であることは間違いありません。そのためには、ロケ隊誘致の前にまずしっかりと脚本に目を通すほか、地元自慢のインスタ映えスポットがしっかりと盛り込まれているかもチェックした方がいいかもしれません。フェイスブックに写真を掲載した際、他人から“いいね”されるスポットがあるかどうかは、タイ人が旅行先を決める上でのかなり重要なポイントとなるからです。

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