タイ商務省貿易政策・戦略事務局（TPSO）のプンポン局長は2025年4 月4 日、今年3 月のヘッドライン・インフレ率（変動幅の大きい生鮮食品価格とエネルギー価格も考慮した総合インフレ率）を前年比0.84％増と発表しました。ヘッドライン・インフレ率は23 年10 月に25 カ月ぶりで前年比減となって以来、6 カ月連続のマイナスとなっていましたが、24年4 月以降は一転してプラスが続いています。
3 月にインフレ率が上昇したのは、ノンアルコール飲料、肉類、加工食品などの商品価格上昇によるもので、軽油価格や住宅賃料の値上がりも影響しました。ただ、その他の商品やサービスの価格はインフレへの影響がそれほど大きくありませんでした。
今年2月時点でのタイのヘッドライン・インフレ率はプラス1.08％となっており、世界130 国・地域中、下から22 番目の低い数値となっています。また、ASEAN では8 カ国（タイ・ラオス・フィリピン・シンガポール・インドネシア・マレーシア・ベトナム・ブルネイ）が経済統計を公表していますが、タイのインフレ率は下から数えて4 番目となっています。なお、24 年通年の平均インフレ率は0.40％であり、135 国・地域中、下から数えて第6 位でした。
今年3 月のタイ国内物価上昇率ですが、飲食品を除く主要品目の物価は前年比0.18％減となりました。値下がりした主要商品は以下の通りです。
- ガソホール（アルコール混合ガソリン）
- パーソナルケア用品（シャンプー、スキンケア用品、ボディソープ、フェイスパウダー）
- 衛生用品（洗濯用洗剤、食器用洗剤、床用洗剤、アイロン用仕上げ剤）
- スマホ
- 衣類（男性用ズボン、男女用T シャツ）
これに対し、値上がりした品目は以下の通りです。
- 軽油（ディーゼル）
- 家賃
- 理美容代（男女共）
一方、アルコール飲料を除く飲食品の価格については前年比2.35％増となりました。以下の主要商品の値上がりが影響しました。
- ノンアルコール飲料（インスタントコーヒー、炭酸飲料、ホット／アイスコーヒー）
- 肉類（豚肉）、アヒル、鶏、水産物（ティラピア、サバ、エビ）
- 加工食品（惣菜ごはん、弁当、麺料理）
- 調味材料（植物油、ココナッツ、カレーペースト）
- 生果物（ドリアン、グアバ、パイナップル、ココナッツ）
- 米・小麦粉・その加工品（ジャスミンライス、もち米、小麦焼き菓子）
- 砂糖製品（お菓子、グラニュー糖）
ただし、価格の下がった商品も複数あり、以下がその一例となります。
- 一部の生野菜（ライム、生唐辛子、白菜、生姜、パクチー、青ねぎ、ナス、セロリ）
- 鶏卵、焼き鳥
- 一部の果物（ぶどう、熟したパパイヤ）
- デリバリー食品
ヘッドライン・インフレ率の指標となる3 月の消費者物価指数（CPI）は100.35（基準年は2019 年）。エネルギー価格と生鮮食品価格を除くコアインフレ率は前年比0.86％増となり、前月（2 月）の同0.99％増から数字を落としています。
タイ商務省は2025 年の総合インフレ率の予測を 0.3% ～1.3%（中央値0.8%） と予測していますが、状況が大きく変化した場合は、改めて見直しを行うとしています。