タイ政府、旧車の買い替えに最大2万台の補助を試験導入へ

タイ政府は電気自動車(EV)の普及と石油輸入の削減を目的に、老朽化した車両を新車に買い替える際の補助制度を試験的に導入する検討を本格化させています。4月11日の閣議でエクニティ副首相兼財務相が方針を示したもので、初期枠として1万〜2万台を想定し、先着順での申請受け付けを原則とする見通しです。

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国産EV・ハイブリッドを対象に限定

対象となる新車はタイ国内で生産された車両に限定されます。EV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、電動二輪車などが主な対象で、物品税局が採用する炭素排出量に基づく課税体系とも整合しています。輸入完成車は対象外とする方向で、タイを生産拠点として育成する狙いを前面に出した政策設計です。

補助金は自動車メーカーを通じて給付し、購入者への値引きとして還元される仕組みを採用する予定です。財政支援に加え、政府貯蓄銀行が閣議決定した50億バーツのソフトローンを活用した低金利の自動車ローンも用意されます。金利は1〜2年目が年3.5%以内、3〜5年目が年5%以内に設定される見込みで、財政と融資の両面から購入を後押しします。

物品税局は旧車の車齢要件や、下取り車両の廃棄・部品再利用の管理体制についても整備を急いでいます。タイには車齢20年超の車両が約200万台存在するとみられており、ディーゼル車とガソリン車がほぼ半数ずつと推計されています。これらを環境性能の高いモデルに置き換えることで、大気汚染の改善や燃料消費の削減にもつながると期待されています。

低迷する自動車市場への救済策

タイ工業連盟(FTI)の自動車部会は、国内雇用と部品調達の観点から対象をタイ国産車に限定するよう求めるとともに、現地調達率が90%を超えるピックアップトラックも対象に含めるよう提言しています。2024年の国内販売台数は約57万2000台と2009年以来の最低水準に落ち込み、ピックアップトラックは前年比38.4%減の約20万台にとどまりました。金融機関が不良債権の増加を警戒してローン審査を厳格化し、2024年の自動車ローン拒否率は70%に達しており、政府の低金利融資はこうした資金調達難の解消にも直接働きかけるものです。

今回の制度は、タイ政府が掲げる「30@30」目標、すなわち2030年までに新車販売の30%をゼロエミッション車とする国家目標とも連動しています。2025年3月時点でタイ全国に3720カ所の充電ステーションが整備されるなど、EV普及を支えるインフラも着実に拡充されており、老朽車両の一斉更新がEVシフトをさらに加速させる契機となるか、注目が集まっています。

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