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タイの雨季はデング熱に十分注意してください。今年は流行の可能性も。

世界でもっとも人間を殺している動物のトップは蚊だそうです。確かに蚊の媒介する疾病は多く、タイではデング熱、マラリアがその代表格です。ただ、マラリアは国境の森林地帯や地方の山岳地帯での感染が大半のため、タイの都市部で生活している分にはあまり心配する必要はありません。

注意すべきはデング熱。特に都市部で流行するケースが多いためです。

症状は?

「熱」という病名の通り、高熱が出るのですが、感染者が口を揃えるのは、「突然発熱し、突然頭痛が襲ってくる」ということ。この場合にはとりあえずデング熱を疑ってください。

発熱は37度程度から40度近くまでと人により差があります。頭痛もさることながら、目の奥が痛くなるとの症状を訴える人がかなりいます。筋肉痛、関節痛、食欲不振などは風邪にもある症状ですが、決定的に違うのはのどの痛みがないことです。素人判断は危険ですが、のどの痛みを感じず、風邪の症状がある場合には、デング熱の可能性があります。

さらに、皮膚に赤い発疹などができた場合にはほぼ間違いなくデング熱です。

治療が遅れるか、なにかほかの理由で重症のデング出血熱に進行した場合には、口の粘膜などから出血があり、ショック死する危険性もあります。しかし、致死率は1%以下のため、すぐに治療を受けさえれば、「死にそうになるが、まず死ぬことはない」(某医師)とのことです。

特効薬はありません。鎮痛解熱剤で熱を下げ、体力の消耗を食い止め、ウイルスの活動を抑えることになりますが、ここで、注意したいのは、鎮痛解熱剤「アスピリン」を使用しないことです。デング熱で危険なのは出血症状の出ることですが、アスピリンは血液が固まるのを妨げるため、症状がさらに悪化するからです。そのため、タイ滞在中は日ごろから、鎮痛解熱剤として、「パラセタモール」を使用するといいでしょう。

原因は?

デング熱ウィルスを持つ蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど)に刺されることで感染します。潜伏期間は3日から15日ですが、1週間前後が最も多いようです。ただ、人によっては軽い風邪のような症状しか出ないこともあります。

デング熱のウイルスを媒介する蚊は熱帯に生息しますので、日本で感染することはないはずでしたが、2014年には17の国内感染例が報告されています。

また、この蚊は昼間だけ活動するため、子どもが昼寝中に感染するケースが多いといわれていますが、タイ人医師によれば、100%ではない、とのことです。

また、地方より都市部で圧倒的に感染が多いのも特徴です。これは、都市部は水溜りができやすく、ボウフラが発生しやすいためです。そのため、住居の近くに水が溜まったままになっている花瓶やカメがある場合には要注意です。複数の感染者に話を聞いたのですが、家の中で刺されて感染した可能性が高い、と話す人が多く、さらに、「ベランダの花瓶の水を取り替えてなかった」「マンションの近くに小さなカメがある」と振り返っていました。

なお、ある感染者は「刺された瞬間、痛みが走り、痒みはいつもより強かった」と話していました。すべてのケースには当てはまらないでしょうが、参考までに。

治療方法は?

鎮痛解熱剤を投与し、体力の快復を待つことになりますが、とにかく早期治療が何より大切です。

ここで怖いのは、タイで感染して、そのまま、日本に戻ってから発症するというパターン。日本の医師は熱帯病治療の経験がないケースが大半のため、デング熱を疑わないためです。タイから帰国後に日本で診察を受ける場合は、必ず熱帯地方にいたことを医師に告げてください。

予防手段は?

予防接種など特効薬はありませんから、とにかく蚊に刺されないようにすることです。

蚊は(1)お酒を飲んでいる人(2)汗をかいている人(3)黒い洋服を着ている人(4)生理中の女性(5)血液型がO型の人を好みます。このうち、3つが該当したら要注意です。また、蚊を引き寄せる色は、黒、青、赤、茶、緑、黄、白の順です。なお、血液型ではO型、B型、AB型、A型の順に蚊に刺されやすいといわれています。

そのため、生理中のO型の女性が黒いスパッツをはいて、昼間に水を取り替えていない花瓶が置いてあるベランダで軽く汗をかきながら、ビールを飲んでいた場合、デング熱感染のための条件をすべてクリアしていることになります。ちなみに、タイ保健省では若い女性に対して、蚊を誘うとして、黒いスパッツの着用を控えるよう呼びかけています。

ところで、タイで売っている蚊取り線香はひどく目にしみるのですが、蚊にはあまり効かないとか。買うなら、蚊取りマットやリキッドタイプが無難です。一番効果的なのは肌に直接塗るタイプ。デパートで販売している商品でしたら、特に肌荒れする心配はありません。ただ、過敏症の人は日本から持参してきた方がいいかもしれません。

ここに注意

デング熱は最大で4回感染します。というのは、ウイルスに4つのタイプがあるからです。第1型に感染した場合、このウィルスには一生免疫ができますが、第2型には感染してしまいます。そして、初回より2回目、3回目の方が症状がひどくなることが多いといいます。

私の知人は見事4回感染しました。この方はもう一生デング熱に感染することはありませんが、それでも「3回目は死にそうになった」と話していました。

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