タイ長期居住者(LTR)ビザの申請資格・基準が緩和されました 

タイ政府は2022年9月1日から長期居住者ビザ(Long-Term Resident/LTR)の運用を正式にスタートさせました。このビザは資産のある外国人、専門技術を持つ外国人のタイ長期滞在を促進するために導入されたもので、富裕層、年金受給者、高スキル人材、リモートワーカーなどを対象に、最大10年間の居住許可や税制優遇措置などが提供されます。

外務省でもイミグレーションでもなく、タイ投資委員会(BOI)が担当部署となり申請者の審査を担当。具体的な対象カテゴリーは、「富裕層」「年金受給者」「高度技術を持つ専門家」「タイでのリモートワーク専門家」の4 つです。

2024 年末時点で、BOI は6000 件以上のLTR ビザを承認しており、地域別では欧州が最多で2500 件。以下、米国(1080 件)、日本(610 件)、中国(340 件)、インド(280 件)と続きます。

目次

発給対象者カテゴリー別変更点など

タイ投資委員会(BOI)は今年(2025年)1 月13 日、タイ政府が長期居住者(LTR)ビザの申請資格・基準・条件などの緩和を承認したことを発表しました。今回の改定により外国人専門家・投資家・経営者らにとってLTR ビザ申請の垣根がかなり低くなりました。

それでは発給対象者カテゴリー別に概要をみていきます。

富裕層(Wealthy Global Citizens)

主な条件

❶資産100万米ドル(約3500万バーツ)以上を保有 

❷50万米ドル以上の投資(タイ国債、不動産、直接投資) 

❸過去2年間の年間個人所得が8万米ドル以上 

変更点
 このいずれかを満たす必要がありましたが、今回❸が撤廃され、❷の基準が重視されることになりました。年間平均所得が4万米ドルでは富裕層とは認めないということのようです。このカテゴリーについては門戸が狭くなりました。

年金受給者(Wealthy Pensioners)

主な条件

❶50歳以上の定年退職者で年金受給者または安定した収入がある外国人

❷・申請時における年間個人所得が8万米ドル以上
 もしくは、
 ・年間個人所得が4万米ドル以上、かつ25万米ドル以上のタイ投資(国債、不動産、直  接投資) 

 このカテゴリーは従来通りです。

高度技術を持つ専門家(Highly Skilled Professionals)

主な条件

❶対象業種(ハイテク、エンジニアリング、ヘルスケア、AIなど)で専門技術を持つ者

❷BOIターゲット業種のタイ企業もしくは高等教育機関・研究機関・特定分野訓練機関・タイ政府機関と雇用契約のある者

 ❶もしくは❷を満たす必要があります。

❸・過去2年間の年間個人所得が8万米ドル以上
 もしくは、
 ・過去2年間の年間個人所得または退職前の年間個人所得が8万米ドルを下回るが、4万米ドルを上回る場合、科学技術分野における修士号以上の学歴保持者、またはタイにおける担当業務関連の専門家であることが求められます。

変更点

これまでは対象業種が、STEM(科学・技術・工学・数学)分野、BOIターゲット産業に限定されていましたが、今後は、持続可能性開発、災害およびリスク管理、統合イノベーションなどの非STEM分野にも対象が広がります。また、職業教育や高等教育の教育者も対象に含むことになりました。これは、タイの学生や専門家への知識移転を促し、国の競争力を高めることを期待してのものです。

❺対象業種における5年以上の実務経験があること(但し、対象業種において博士号以上の学歴保持者、またはタイ政府機関に就労する申請者は免除)

変更点

「対象業種における5年以上の実務経験」が要件から外されました。これは潜在力を持つ者に門戸を広げるためであり、収入や学歴、雇用主の安定性など他の基準で能力が評価されることになりました。

タイでのリモートワーク専門家(Work-from-Thailand Professionals)

主な条件

❶タイ国外の企業に勤めるリモートワーカーおよび幹部クラス人材

❷・過去2年間の年間個人所得が8万米ドル以上
 もしくは、
 ・過去2年間における年間個人所得が8万米ドルを下回るが、4万米ドルを上回る場合、修士号以上の学歴保持者、知的財産権の保持者、またはシリーズAの資金調達を受けていること

❹雇用企業は、出身国で証券取引所に上場している公開会社、もしくは創業3年以上で過去3年間の合計収入が1億5千万米ドル以上であること

変更点

申請者を雇用する海外企業の最低収益要件が、過去3 年間で1 億5000 万米㌦から5000 万米㌦に引き下げられました。さらに、多国籍企業の完全子会社の従業員は親会社の財務情報で申請することができるようになりました。

❺過去10年間で現職の関連分野で5年以上の実務経験があること

変更点

「関連分野で最低5 年間の職務経験」が要件から外されました。理由は「タイでのリモートワーク専門家」の項目と同じです。

LTRビザ保有者の配偶者および20歳未満の子供(LTRビザ保有者1名につき扶養家族は4名まで)
変更点
扶養対象を配偶者と子どもに限定せず、両親やその他の扶養家族も対象に拡大します。また、人数制限が撤廃されました。

※すべてのカテゴリーで、5万ドル以上の健康保険、またはタイ国内での入院・治療費を保証する有効な社会保障、または10万ドル以上の銀行預金のいずれがを満たす必要があります。

LTRビザ保有者の特典は?

  • 10年間の滞在許可(5年×2回)
  • デジタル労働許可証付与
  • 外国人1人に対しタイ人4人雇用義務の免除
  • 高度技能を持つ専門家の個人所得税を17%に
  • 90日レポートを1年レポートに(通常のビザでは90日ごとの報告が必要)
  • 再入国許可申請の免除
  • タイの国際空港におけるファストトラックサービスが利用可

関連URL

 

https://www.thaievisa.go.th

https://www.thaievisa.go.th

https://www.thaievisa.go.th/visa/ltr-visa

  • URLをコピーしました!
目次